高齢出産が増えているが、35歳以上で初産の母親は産後うつ病になりやすいことがわかった。浜松医科大学子どものこころの発達研究センターの松本かおり・特任助教が2012年11月10日、東京で開かれたヘルスリサーチフォーラム (ファイザーヘルスリサーチ振興財団主催) で発表した。
父親の職業や年齢とは無関係
産後うつ病は出産3か月以内に発病し、欧米では10~15%といわれている。女性の苦しみや不安の多くは1年以内に自然に軽快するが、重いうつ病に進むケースもあり、子どもの情緒不安定などにもつながりうる。松本さんらは大学病院産科と 1産院の妊婦検診に訪れた妊婦に産後2、4、8週の3回、国際的なうつ状態のスクリーニングテストに記入してもらった。2010年10月時点で産後 3か月をすぎた726人のうち、2回以上記入した678 人について分析した。
1回でもうつ状態だったと見られる母親は102 人で、3 か月累積の産後うつ病発生率は15.0%。初産は19.1%、2人目以降は11.1%と差があったが、平均年齢、子どもの父親の年齢、世帯収入、早産や子どもの低体重などと産後うつ病の有無は関係がなかった。あったのは年齢。母親の年齢が「25歳以下」は20.5%、「35歳以上」では18.9%に対し、「25~29歳」は14.2%、「30~34歳」11.5%で、真ん中が凹むグラフになった。初産、子どもの父親の年齢などを加味すると「25歳以下」が多いことの説明がつくのに対し、「35歳以上」は明らかに産後うつ病が多い、と結論づけた。
松本さんは「35歳以上の母親、とくに初産の場合は産後うつ病を注意すべきだ」と、警告した。
(医療ジャーナリスト・田辺功)