早稲田大学が、学部生を2割削減する構想を中長期経営計画の中で明かした。
少人数教育で授業の質を高めるのが狙いで、方法については、入学の段階で絞るほか、留年者を減らすという。
留年が「名物」ともいえる早大の改革案に、ネットでは嘆き節も広がった。
「留年は即除籍に」…デマ飛び出す
早大は2012年11月15日、「WASEDA VISION 150」を公表した。創立150周年を迎える2032年に向けての中長期的な経営計画だ。クォーター制度、対話型や問題解決型の少人数教育、全学生の留学などの導入を打ち出し、独自のグローバル化を進める姿勢が見て取れる。これに伴って、学部生を4万3978人から約2割減の3万5000人にするという数値目標をロードマップに記載した。
大学評論家の山内太地さんはツイッターでこうコメントした。
「規模を縮小し、教育の質を高める早稲田の戦略はまとも。規模の拡大と志願者数競争の時代はもう終わりだ」
ネットでもおおむね改革を歓迎しているのだが、一部であることに注目が集まっている。学部生を減らす方法だ。なんと入試で定員(3万6000人)の1.1倍程度を入学させている現状を改めるほかに、「留年生」を減らすと鎌田薫・早大総長が記者会見で発言したのだ。
これを受けてツイッターでは、早大生やOBと見られるアカウントの嘆き節が広がった。
「留年生を減らし…涙」
「そりゃ無理だろ」
「こっちは八年でも居座る予定なんだよ。留年生削減はやめて」
「怖すぎ!留年2流!」
「なんかこれ早稲田っぽくない」
早大は、日本の一流と称される大学の中では群を抜く学生数と留年者数で有名だ。かつては校内で「中退一流・留年二流・卒業三流」という格言が公然とささやかれていた。最近でも、2010年のデータを見ると、約1割が留年をしているらしい。
「名物」存亡の危機に、ネットでは「早大、学部生2割減に伴い、留年は即除籍に」といったデマも飛び出した。
「さらっと書いてるが、どうやるんだこれ」といぶかる声もある。早大広報によると、「具体策としては今後検討していく」とのことだった。
寄付金4.5倍にして減収を補填?
また、早大は「厳しい財務状況下」(鎌田総長)にあるため、資金調達への不安もネットにはあった。
学部生が2割減少すると、単純計算で200億円近い学費収入減となるためだ。「WASEDA VISION 150」では、寄付金について、卒業生との連携を深めて、毎年の金額を現状の4.5倍の100億円にする、とぶちあげている。早大は減収分を寄付金や外部研究資金の獲得、経費節減などで埋める計画としており、補填の大部分はOBからの寄付金になりそうだ。これについては早くも「ファイナンスの見通しが甘すぎる」という指摘が出ている。早大OBの20代男性はJ-CASTの取材に対し、「慶應ほど愛校心が強くないので寄付金を募る形式では無理なのでは」と漏らしていた。
ただ、早大より定員が8000人ほど少ない慶應義塾大学は、同窓会の慶應連合三田会のホームページによると、毎年60億円前後の寄付金を集めている。愛校心の問題を差し置けば、あながち無理な目標と言うわけでもないのかもしれない。