女優の森光子さん(92)が、2012年11月10日に肺炎による心不全のため都内の病院で亡くなっていたことがわかった。
しかし、週刊誌で、「間もなく女優復帰する予定で、ダンスをしたり、スクワットを150回こなしている」と報道されたこともあり、突然の死去と受け取った人もいたようだ。
「スクワットを150回くらいこなす」?
週刊新潮は「森光子が女優復帰を目指してただ今肉体改造中」という記事を2012年11月15日号に掲載した。プロデューサーの石井ふく子さん(86)と、森さんの側近、病院関係者の証言をもとに書かれた記事で、現在、東京広尾のマンションに一人で住んでいて、月一回の検査入院を含め、病室に泊まることがしばしばあると書いている。
石井さんが病院を10月に訪ねたときは元気で、寝間着ではなく私服で迎えたという。公演2000回を達成した舞台「放浪記」が10年に中止となったことを残念がり、
「現場に復帰したいという意識が十二分に見受けられた」
そうだ。
病院の関係者の話では、自分の足で歩行し、足を上げてステップを踏み、手を大きく振ってダンスをしている。椅子などに手を当てて体を支えながら、
「スクワットを150回くらいこなすこともあります」
と証言している。そして記事は、「放浪記」の舞台は復活するのか、と結んでいる。
この記事にファンは喜び、早期復帰の期待を膨らませたが、週刊新潮が発売してすぐに森さんは亡くなった。
実はこの報道に首を傾げるメディアもあった。東京スポーツ(12年11月10日付)によれば、09年NHK紅白歌合戦で審査員を務めてから表に出なくなり、最近の状況は、どのメディアもつかめていない。東スポ独自の取材では、認知症のような症状が出て、ベッドの上で過ごすことが多くなったため、森さん自ら老人ホームに入居し、そこから通院している。12年9月上旬ころに体調が急激に悪化し緊急入院し、重篤説も囁かれた、と書いている。
「女優復帰を目指し頑張っていたことはありえません」
本当はどんな状態だったのか。所属していた東宝演劇部に話を聞いてみると、
「森さんは体調が悪化して入院している状態でしたから、ダンスをしたり、女優復帰を目指して頑張っていた、などということはありえません」
と週刊新潮の記事を否定した。
ネットでは、「週刊新潮より東スポが事実に近いのは意外だ」などと話題になっていて、
「新潮はどこの病院関係者に取材したのか?ちゃんと取材して書いたのか?」
といった批判が出ている。