遠隔操作ウイルスを使い他人のパソコンを乗っ取り、犯罪予告のメールや掲示板への書き込みを行った事件で、「真犯人」を名乗る人物から2012年11月13日夜に「ゲームは負けのようです」「今から首吊り自殺します」と書かれたメールと写真がTBSや、朝日新聞記者、弁護士など7箇所に送られた。
添付されていた写真には大ヒットアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」と思われる人形が写っているため、ネットでは「犯人はアニオタ(アニメオタク)だと主張しているのか?」「いや、何か重要なメッセージがあるはずだ」などといった議論になっている。
「楽しいゲームでした。さようなら。また来世」
2012年6月頃から、東京の大学生や、大阪のアニメ演出家などが無差別殺人や襲撃の予告をしたとして次々に逮捕されたが、実は無実で、遠隔操作ウイルスを使った何者かの仕業だということがわかった。その「真犯人」を名乗る人物は10月、弁護士などにメールで今回の犯行手口を公開し、「あそんでくれてありがとう」などとあざ笑うような文言で、この犯行の目的は警察・検察の捜査レベルを探ること、などと説明した。
警視庁など合同捜査本部は犯人の割り出しを進め、米連邦捜査局(FBI)に通信記録の解析を求めるため、米国に警視庁の捜査員ら5人を派遣した、という。犯行声明メールは世界中の複数のサーバーを経由して送られていて、最後に米国と欧州を経由していたことがわかったからだ。
13日夜に「真犯人」を名乗る人物は複数のメディアと弁護士宛に、
「ミスしました。ゲームは私の負けのようです。捕まるのが厭なので、今から首吊り自殺します。楽しいゲームでした。さようなら。また来世」
などと書かれたメールを送った。
そしてなぜか、広げた神奈川新聞の上に、人形と、LANケーブル、ガムテープ、カッターが置かれた写真を添付していた。
この人形は劇場公開されている大ヒットアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公、「鹿目まどか」。丸く輪にしたLANケーブルは、「まどか」を囲うように配置していて、首吊りをイメージしているかのようだ。
写真の隠されたメッセージは「生き残る」?
「魔法少女まどか☆マギカ」の最も衝撃的なシーンは、主要キャラが頭から「魔女」に食われるというもので、首から下が地面に落ちる。この写真を見て、「真犯人」は自殺を示唆するためこの人形を持ってきたのではないか、と想像している人もいる。
一方、ネットの一部では「まどか」の人形が使われていることについて悲鳴が上がった。
「マスコミが『犯人はアニメオタク』といった報道をしたら、またアニオタの肩身が狭くなる」
というのだ。一方、首から上を「魔女」に食われたのは「まどか」ではなく「巴マミ」だから、実はアニオタではないのかもしれない、とし、
「おそらく、アニオタを装い、捜査をミスリードさせる目的なのだろう」
と考える人もいる。さらに、テレビ版の「魔法少女まどか☆マギカ」で「まどか」は死を逃れている。今回の写真の隠されたメッセージは「生き残る」だとし、これからも「真犯人」と警察との戦いは続くはずだ、との見方も出ている。