決まったのは、段階的な「教材の英語化」だけ
尾見康博准教授はその中で、読売の報道について、「大きな方向としてまったくの誤報とは言えない」としながらも、ほぼ全講義も英語でするというのは誤報と言わざるをえないと指摘した。
別の研究者が「だいたい教授クラスで自分の専門を英語で授業できる能力があるならもっと他の有名大学に移れるんじゃないの」とツイートすると、尾見氏は、それなら世界中の英語圏の大学で教えられると同意した。
さらに、尾見氏は、講義が英語化された場合の懸念も示した。
「日本の大学の授業を英語で実施するとした場合,もし授業に帰国生や英語を母語とする留学生がいたら,その人たちが満足のいく授業ができるか,何よりその人たちがわかる英語で授業できるか」
山梨大の総務課では、取材に対し、読売などの報道について、「誤報ではありませんが、こちらの構想や願望と混同され、ちょっと誇張が過ぎたと思います。われわれもびっくりしています」と答えた。
その説明によると、決まったことは、2013年春から、英語教材を利用した講義を可能なところから段階的に実施していくということだけだという。このことについて、全教員に検討を依頼しており、12年12月中旬にその意向を調査して実施したいとした。
英語で講義するかは、教員の授業の進め方によるとしている。国際教養大とすぐに同じことができるわけではなく、可能なところを採り入れていくとした。
「国際教養大は、もともと英語で講義しようと設立されたもので、こちらとは前提が違います。今同じことをすれば、英語ができない人が来なくなって、志願者が減ってしまいますよ。グローバル化を進めているのは、ほかの国立大などとそれほど変わりはありませんが、教材を可能な限り英語化するというのは珍しいかもしれません」