勢い増す解散風に霞が関しらけムード 「予算作業やり直すと二度手間になる」

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   国の来年度予算案の編成作業の見通しが不透明になってきた。2012年10月末の「予算編成に関する政府・与党会議」の会合で本格的な詰めの作業が始まったはずだが、ただでさえ民主党政権存続が危ぶまれていたところに、解散風が急に強まり、「年内編成は無理」との声もささやかれている。

   12年の予算編成は、消費税引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革法」成立に手間取ったあおりで、例年は8月末の概算要求締め切りが9月7日にずれ込み、スタートから出遅れた上、その後も衆院解散を巡る与野党攻防のため、全体に作業は停滞気味。12月上・中旬の税制改正大綱決定、下旬の予算案決定という例年のスケジュール通りに進むか、懸念が出ていた。

「財務省の野田政権へのサポートが一気に弱まった」

   表向きの予算編成に向けた作業は、一応、進んではいた。10月30日の「政府・与党会議」で、「日本再生戦略」の重点政策と位置付けた「環境・エネルギー」「健康」「農林漁業」の3分野に重点配分する方針を確認。通常は12月に入ってから閣議決定する「予算編成の基本方針」を11月中に前倒しする構えを見せるなど、予算の年内編成の旗を掲げてきた。

   ただ、実務を担う霞が関の官庁では、「解散時期によっては作業をやり直す必要が出てきて二度手間になる」との白けたムードも広がってきた。さすがに財務省は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)を主な舞台に、地方公務員の平均給与が国家公務員を9年ぶりに上回るとの試算を示して、交付税減額の必要を訴え、農家向けの戸別所得補償制度について「経営体質改善につながらない」との議論を提起するなど、「政権に関係なく、必要な歳出削減に向けた作業は粛々と進めている」(財務省筋)。

   しかし、「消費税関連法が通った後、財務省の野田政権へのサポートが一気に弱まった」(経済官庁有力OB)といい、「予算編成で例年になく財務省の政治へのグリップが効いていない」(与党筋)というのが霞が関の共通認識。実際、一般歳出の要求総額は「特別枠」への要求が膨れ上がった結果、上限とした71兆円を上回る73.4兆円に達し、11月6日になって、民主党が各省庁に、概算要求額から3%削減して出し直しを指示する異例の事態になっていた。

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