2ちゃんねる開設者のひろゆきこと西村博之さん(35)とみられる人物が、出会い系に誘導していた2ちゃんねるまとめサイトに、転載禁止の警告を出していることが分かった。これらのサイトでは、一斉に謝罪を行い、波紋を呼んでいる。
「まとめっぽく見せてる広告ページって 流行ってるんですかね?」
始まりは、まとめサイトのあり方を議論する2ちゃんねるのスレッドに2012年11月8日、こんな書き込みがあったことからだ。
「誠意が感じられないようだったら、転載禁止」
書き込み主のユーザーIDの後に貼り付けられたリンクをクリックすると、ひろゆきさんの2ちゃんプロフィール画面が現れる。
その後、出会い系などに誘導する「なりすまし」のまとめサイト、言い換えればカモフラージュ広告のケースをねらーが指摘すると、ひろゆきさんは、「そういうのですー」と反応した。この広告ケースは、「Vipper魂」と称して2ちゃん風書き込みを並べ、1か月に120万円稼いだと紹介していた。
さらに、ひろゆきさんは、出会い系などに誘導する広告ページが見つかったまとめサイトにも警告を出すことを明らかにした。警告対象に挙げられたのは、10以上のまとめサイトだった。
ひろゆきさんは、これらのサイトに対し、広告を載せた経緯や業者名、広告費まで詳細な説明をサイト上に載せることを要求した。そして、「誠意が感じられないようだったら、転載禁止ってのでどうですかね?」と迫った。
まとめサイトを巡っては、ひろゆきさんが2ちゃんスレで6月、転載に捏造などがあったとして、「やらおん!」「ハムスター速報」など5サイトを名指しし、これらのサイトは、2ちゃんを利用しない方法で更新せざるをえない状態などに追い込まれている。
それだけに、今回警告対象になった各サイトも、慌てたらしい。ひろゆきさんの書き込み後に、次々にサイト上で謝罪を始めた。
「マジキチ速報」は月24万円以上の収益
2ちゃんまとめサイトの1つ「マジキチ速報」は2012年11月10日、依頼してきた広告代理店名も晒し、出会い系などに誘導する広告ページがあったことをサイト上で認めて謝罪した。広告は、「【速報】俺が童貞卒業」「不倫で童貞捨ててみたけど質問ある?」といったタイトルだった。
広告費は成果報酬タイプで、出会い系サイトに登録してもらえると1件につき1500円がまとめサイト側に支払われた。「マジキチ速報」では、10月は24万7500円もの収益があったとも明かした。
名指しされたほかのサイトも、同様に謝罪し、依頼した広告代理店がいくつかあることが分かった。
まとめサイトの利用もあるライブドアブログでは、運営者が9日、「広告と判別しづらい手法での出会い系サイト誘導を禁止します」とのお知らせをサイト上に掲載した。こうしたブログが複数見つかったといい、利用規約違反として、「発見し次第、しかるべき対応を行います」と警告している。
依頼代理店の1つのステイフリーはこの日、ライブドアブログ運営者から広告誘導行為について指摘を受けたことをサイト上で明かした。そのうえで、広告の掲載を停止する措置を取ったとして謝罪した。
ひろゆきさんは、その後も2ちゃんスレで発言を続け、まとめサイトの利用があるFC2ブログではカモフラージュ広告への対応が見られないとして、「まとめサイトを開設するのを禁止にします」と宣言した。転載禁止は、FC2の既存サイトも含めるという。
さらに、「禁止サイトにリンクしてるまとめサイトもイエローカードにしておきますかー」とし、2回続けばレッドカードだとして2ちゃんからの転載禁止をほのめかしている。ひろゆきさんは、2ちゃんの管理人を辞めたと明かしていたが、実質的な運営は続いているのかもしれない。