住宅設備メーカー大手が、東京・新宿で拡大する住宅リフォーム市場をにらみ、火花を散らしている。総合住設メーカー大手、LIXIL(リクシル)が8月、新宿に首都圏最大級の大型ショールームを開設したのに続き、TOTOと大建工業、YKKAPの住設大手3社が共同で11月3日、旗艦ショールームをオープンした。ホットな戦いの背景には何があるのか。
西新宿vs南新宿の争い
LIXILのショールーム「LIXILショールーム東京」は、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅近くの新宿区西新宿に設けられ、広さは約5280平方メートル。戸建て住宅やマンションのリフォーム事例などを具体的に紹介し、自宅の改装を望んでいる顧客がリフォーム後のイメージを膨らませやすいように工夫している。グループ企業内の関連商品も豊富にそろえ、住宅設備を一度に見学できる。
TOTOと大建工業、YKKAPのショールーム「TDY東京コラボレーションショールーム」は、JR新宿駅サザンテラス口近くの渋谷区代々木にできた。広さは約3700平方メートル。3社は2002年にリフォーム事業で提携し、さまざまな取り組みを行ってきたが、今回、3社が都内でそれぞれ展開していた小規模なショールームを統合し、拡張してオープンした。
TOTOはトイレや浴室などの水回り、大建は建材やドア、YKKAPは窓など、それぞれの強みを持ち寄り、互いに連携しながら顧客に最もよい組み合わせの設備を提案する試みだ。
大規模ショールームを新宿に構えたのは、ともに「都内のお客様が足を運びやすい」から。もともと新宿界隈には住宅関連メーカーやインテリアのショールームが多く、ハウジングに関心があるユーザー側にはなじみがある場所。そこに大規模ショールームを設けることで、拡大する住宅リフォーム市場で顧客の呼び込みをさらに強化しようというのが最大の狙いだ。
ここ数年、市場の拡大が続く
景気低迷などで新規の住宅着工が伸び悩む中、住宅リフォーム市場はここ数年、拡大し続けている。国土交通省の「建設投資見通し」によると、2012年度の建築物リフォーム・リニューアル投資は計8兆6800億円に上る見通しでで、3年前の2009年度比では12%増と伸びており、建築物投資全体の28.9%を占める。このうち、戸建て住宅やマンションなど住宅のリフォームは約4割の3兆2500億円に上る。
住設メーカー大手が新宿で激戦に臨むのは、そんな住宅リフォーム市場の活況を受けた戦略の一環だ。ショールームは住設メーカーが直接、顧客である消費者と接触できる貴重な場といえる。自社の設備を着実に購入してもらうには効果的な場であり、顧客の囲い込みには欠かせない。TOTOの張本邦雄社長はショールームのオープンに先立って開いた記者会見で、「10年間の3社のアライアンスの成果を具現化した」と力を込め、市場争奪に強い意欲を示した。新たな市場の覇者を目指し、新宿での戦いは熱くなる一方だ。