トヨタの小型HV車「アクア」絶好調 しぼむ?EV市場

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   トヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」の2012年10月の販売台数が2万4192台となり、HV車の「代表格」で同じトヨタの「プリウス」(1万8116台)を抜いて初の首位に躍り出た。

   アクアは11年12月に発売。最低価格は169万円からで、プリウスよりも50万円ほど安いことが人気につながっているようだ。

燃費性能のよい小型車や軽自動車が人気

トヨタの小型HV車「アクア」は売れ行きが好調だ
トヨタの小型HV車「アクア」は売れ行きが好調だ

   日本自動車販売協会連合会が2012年11月6日に発表した10月の車名別販売台数ランキング(乗用車)によると、プリウスが首位の座を明け渡したのは17か月ぶりのこと。アクアの販売台数は、軽自動車を含めてもホンダ「N BOX」の1万8203台を抑えてトップだった。

   アクアは排気量1500ccの小型車。HVシステムをプリウスに比べて42キログラム軽量化して燃費性能を向上させ、重心を低くすることで走行の安定性も高めた。ガソリン1リットルあたりの走行可能距離は国の基準(JC08モード)で35.4キロメートルと、ガソリンエンジン搭載車としては世界最高水準の燃費性能をもつ。

   販売価格は169万~185万円。当初の月間販売目標(国内)は1万2000台だから、いまも2倍のペースで売れている。

   トヨタによると、アクアは生産が追いつかず、「注文を受けた販売店やグレードによっても異なりますが、現在も2か月弱、お待ちいただいております」という。

   国内の新車販売は、9月下旬にエコカー補助金が終了したことで、9~10月と2か月連続で前年を割り込んでいる。市場が冷え込むなか、割安感があって燃費性能もよい小型車や軽自動車へのシフトは強まっている。

   HV車のプリウスはリッター26.2キロメートルの燃費性能をもち、価格で200万円を超える。アクアは小型化で燃費をよくして、そのうえ価格も抑えたことが、消費者ニーズと合致したわけだ。

EVは高い。原発事故も影響か?

   HV車はそもそも、燃費性能のよさとともに二酸化炭素(CO2)の排出を抑える環境性能の高さがセールスポイントだった。小型HV車のアクアが快走する一方で、HV車を超える環境性能のよさが「売り」の電気自動車(EV)の販売が、いま一つ盛り上がらない。

   日産自動車が販売するEV車「リーフ」の販売台数は、2010年12月の発売以来、世界市場の累計で4万2000台(10月末時点)にのぼる。このうち、国内販売は1万9000台。日産は、「順調に売れていると考えています」と話している。

   とはいえ、2013年3月期のリーフの世界販売について、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)が「前年度実績から2倍に引き上げる」との目標を設定したものの、北米などでは苦戦を強いられているもよう。

   北米日産によると、2012年4~8月の米国の販売実績は前年同期に比べてやや上回ったが、12年度(通期)の目標である2万台の達成は厳しくなってきた。9月の販売台数は984台で、前年同月に比べて4.5%減った。

   EVが売れないのは、まず価格が高いことがある。軽自動車のEV車「アイ・ミーブ」を販売する三菱自動車は「EVは高い」という指摘に対応し、260万円からの「廉価版」のアイ・ミーブMを発売したが、さえない。

   家で充電できるが、町などでの充電設備は十分とはいい難い。さらに、「東京電力・福島第一原発の事故の影響も少なからずある」との指摘もある。原発停止で、多くの化石燃料を必要とする火力発電が再稼働され、電気代が上昇していること、またそれに伴い、EV車の最大のメリットだった「CO2削減」対策がすっかりしぼんでしまったことがある。

   トヨタ自動車も12月に、小型車「iQ」をベースとしたEV車「eQ」を発売するが、世界市場での販売台数は100台とごくわずか。国内での価格は360万円と安くない。

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