EVは高い。原発事故も影響か?
HV車はそもそも、燃費性能のよさとともに二酸化炭素(CO2)の排出を抑える環境性能の高さがセールスポイントだった。小型HV車のアクアが快走する一方で、HV車を超える環境性能のよさが「売り」の電気自動車(EV)の販売が、いま一つ盛り上がらない。
日産自動車が販売するEV車「リーフ」の販売台数は、2010年12月の発売以来、世界市場の累計で4万2000台(10月末時点)にのぼる。このうち、国内販売は1万9000台。日産は、「順調に売れていると考えています」と話している。
とはいえ、2013年3月期のリーフの世界販売について、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)が「前年度実績から2倍に引き上げる」との目標を設定したものの、北米などでは苦戦を強いられているもよう。
北米日産によると、2012年4~8月の米国の販売実績は前年同期に比べてやや上回ったが、12年度(通期)の目標である2万台の達成は厳しくなってきた。9月の販売台数は984台で、前年同月に比べて4.5%減った。
EVが売れないのは、まず価格が高いことがある。軽自動車のEV車「アイ・ミーブ」を販売する三菱自動車は「EVは高い」という指摘に対応し、260万円からの「廉価版」のアイ・ミーブMを発売したが、さえない。
家で充電できるが、町などでの充電設備は十分とはいい難い。さらに、「東京電力・福島第一原発の事故の影響も少なからずある」との指摘もある。原発停止で、多くの化石燃料を必要とする火力発電が再稼働され、電気代が上昇していること、またそれに伴い、EV車の最大のメリットだった「CO2削減」対策がすっかりしぼんでしまったことがある。
トヨタ自動車も12月に、小型車「iQ」をベースとしたEV車「eQ」を発売するが、世界市場での販売台数は100台とごくわずか。国内での価格は360万円と安くない。