中国の更生施設では「軍事訓練」、死亡事故も
症例は20歳未満の未成年に多く、他の依存に比べて本人の問題意識が乏しい傾向にあるとする。しかし、久里浜医療センターがIAD患者の治療を初めてまだ1年強のため症例が少ないうえ、症例ごとに年齢や性、依存パターン、家族構成などが異なるため画一的な治療が難しいという。スマートフォンの急速な普及で、従来にはなかった新たな依存の問題が生じる懸念もある。
隣国でも同様の問題がある。中国共産党の機関紙「人民日報」の電子版、人民網(日本語版)2010年2月3日付記事は、中国の「ネット中毒者」が2400万人を超えると伝えた。特に18~23歳の年齢層が割合で最も多く、数も増えているという。中毒の程度が詳述されておらず、IADと同義ととらえてよいかは微妙だが、相当の人数なのは間違いない。
依存者を立ち直らせるための更生施設は、中国全土で200か所とも400か所とも伝えられる。毎日新聞は2010年8月16日の記事で、山東省にある施設を紹介した。隊列を組んでの行進をはじめとした「軍事訓練」を中心に、体を鍛え規則正しい生活を送り、人とのつながりを取り戻すのを目的とする。一方で、こことは別に悪質な施設の事例も報告されており、2009年には更生プログラムを受けていた少年を教官が殴って死なせる事件まで起きた。
韓国では2012年、小学4年、中学1年、高校1年の約174万人を対象にした調査で、6万8044人が「ネット中毒」またはその「予備軍」との結果が出たと、2012年5月30日に聯合ニュースが報じた。主要紙の中央日報も3月6日、幼児・児童の「ネット中毒率」が7.9%に上り、満20~49歳の6.8%より高く若年層で深刻化している現状を浮き彫りにした。