「被疑者補償規程」はあるが…
憲法40条(刑事補償)と17条(国家賠償責任)の趣旨を実現するため、日本には刑事補償法と国家賠償法がある。
このうち刑事補償法では、拘留・拘禁1日当たり千円以上1万2500円以内、死刑執行3000万円以内の範囲内で支払われる。ところが、その対象は「拘留または拘禁された後に無罪判決を受けたとき」としており、誤認逮捕の後に不起訴処分となった今回のケースなどは補償請求する権利がないことになる。
その救済策として国が1957年に定めたのが「被疑者補償規程」で、いったん逮捕したものの罪を犯していないという十分な証拠などがある場合は、刑事補償法と同様の補償金を支払うことになっている。
前出の少年の補償金はこの「被疑者補償規程」にのっとって支払われる見通しだが、刑事補償問題に詳しい弁護士は「請求可能な期間が刑事補償法に比べて短いことなどから、近年、国内で誤認逮捕された人の中で被疑者補償規程を活用した事例は決して多くはないはず」と指摘する。