日立の英国原発企業買収 ライバルの中国企業が手を引いた理由

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   日立製作所が英国の原子力発電事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を6億7000万ポンド(約850億円)で買収し、自ら原発の運営に手を出す決断をした。

   ホライズンの設立母体であるドイツの電力会社2社から2012年11月中に全株式を買い取る。当初は中国企業が買収者として有力視されたが、実質的な原発の発注者である英国政府の意向から、実績豊富な日立の手にわたることになったようだ。

きっかけはドイツ政府が「脱原発政策」にカジを切ったこと

   ただ、原発メーカーである日立がリスクの高い運営にも踏み込むことになり、ノウハウを持つ欧米企業の提携先探しが今後の課題となる。

   今回のM&A(企業の買収・合併)のそもそものきっかけはドイツ政府が2011年、「脱原発政策」にカジを切ったことにある。2009年にドイツの電力大手「エーオン」「RWE」両社によって設立されたホライズンは、英国の2カ所で原発4~6基を建設することが内定していた。しかし、ドイツ政府が脱原発推進を決めたことを受け、ホライズンの親会社2社が11年3月、ホライズンの売却方針を公表し、買収競争が始まった。

   当初は中国企業が有力視された。コスト競争力があるうえ、バックにつく中国政府による資金支援も期待できたからだ。電力需要の旺盛な中国は、米ウエスチングハウス(WH)や仏アレバから原発技術の供与を受け、世界有数の原発大国になりつつある。

姉妹サイト