東京電力は、福島第一原子力発電所事故の損害賠償や除染を継続するため、政府に新たな支援策の検討を要請することを盛り込んだ新たな経営方針を2012年11月7日に発表した。経営方針は2013~14年度が対象。
東電の下河辺和彦会長は、今後の除染や中間貯蔵、廃炉の費用を考慮すると現状の上限の5兆円を突破する恐れがあり、「一企業のみの努力では到底対応しきれない可能性が高い」と指摘。引き続きコスト削減を強化するものの、東電単独で巨額の負担増に対応するのは困難だと判断した。
さらに、下河辺会長は「新たな支援額や枠組みについて東電からは示さない」と述べ、政府の議論を待つ姿勢を示した。
5月に政府の認定を受けた「総合特別事業計画」では、東電の賠償費用は国から原子力損害賠償支援機構にわたる交付国債で賄い、東電が将来の事業収益で返済することになっている。政府への支援要請は、総合特別事業計画の前提が崩れていることを事実上認めたことになる。