音楽ソフトの最大手、ソニー・ミュージックエンタテイメントは、日本国内で米アップルが提供する音楽配信サービス「iTunes」向けの楽曲提供を、2012年11月7日に開始した。
ソニーミュージックは、国内に限り「iTunes」には楽曲を提供していなかった。その一方で、「いきものがかり」や「JUJU」「西野カナ」などの人気アーティストを多数抱えており、この日を待ち望んでいた音楽ファンは少なくない。
アップルとの条件「整えるのに時間がかかった」
これまでソニーミュージックは、携帯音楽プレーヤーの「ウォークマン」と競合するうえ、アップルのiTunesと競合する音楽配信サービス「mora(モーラ)」を運営していることから、iTunesへの配信を見送っていた。
一方、iTunesはアップルのオンライン音楽配信サービスで、iPhoneや携帯音楽プレーヤーのiPodなどのアップル・ユーザーはiTunesからしか楽曲を買えない。そのため、ソニーミュージックに所属するアーティストの楽曲は事実上、iPhoneやiPodでは聴けなかった。
ただ、ソニーミュージックはiPhoneなどのアップルのユーザーが多く、iTunesが配信の約7割と圧倒的なシェアをもつ米国では、iTunes向けにも楽曲を提供していた。
iTunesへの楽曲提供について、同社は「(アップルとの)条件を整えるのに時間がかかってしまった」と話す。
日本レコード協会によると、2011年の音楽配信売上高は前年に比べて16%減の719億円と2年連続で減った。その内訳は、携帯電話向けサービスが583億円で22%減少。iPhoneなどのスマホやiPodを含めたパソコン向けサービスは126億円と24%増えた。
スマホ向けサービスの立ち遅れで、従来の携帯電話からの移行時に利用者を囲い込めなかったことが減少の大きな原因とみられる。
国内でもスマホの普及が進み、なかでもアップルのiPhoneがシェアを高めている。iPhoneの普及に楽曲の提供が追いついていなかったようだ。
ソニーミュージックは、「(iTunesが)以前から有力な配信サイトであると認識していました。ただ、国内でのiPhoneの急速な普及が(サービス開始の)理由ではありません」という。
とはいえ、普及が広がるiPhoneなどでも楽曲を買えるようにすることで販売を増やす狙いがある。