田中真紀子文科相が「無条件降伏」 民主党内と官邸サイドから圧力?

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   3大学新設の不認可発表から、新しい基準のもとでの再審査へと揺れ動き、挙句は「現行制度で適切に認可します」――。

   田中真紀子文部科学相による3大学の新設不認可発表から5日後の2012年11月7日、同氏は衆院文部科学委員会で突然、これまでの発言を全面的に撤回し、3大学を現行制度で審査し認可する方針を示した。

   「暴走大臣」田中氏のこの間の場当たり的な方針転換に、自民党は田中氏の辞任か罷免を要求するとともに、野田首相の任命責任をも追及する構えだ。

「この3校は認可します」と明言

11月7日午前九時半に開会した文部科学委員会は、3大学の新設を不認可にした問題をめぐる議論に終始した。

   「田中大臣の判断は決定的に誤っている。3大学への不認可決定を即座に撤回すべきだ」。自民党の下村博文氏がこう追及したのに対し、田中氏は「従来の設置基準のもとでは新設を認めることができない」と繰り返した。

   答弁では「不認可処分という行政処分は行っていない。世間は誤解している。新たに策定するルールのもとで、そこで審査して(認可か不認可かを)検討する」と述べ、11月6日の会見で表明した文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」の早急な見直しについても強調した。

   また田中氏は札幌保健医療大、秋田公立美術大、岡崎女子大の3大学について「3校のどこが悪いなんて具体的に知りませんし、悪いとも思っていません」と申請内容の詳細を把握していないことを認めた。

   あくまで3大学への不認可の撤回を固辞し、新基準のもとでの再審査を主張していた田中氏が同じ文部科学委員会の場で、既定方針を急転させたのは午後三時半を過ぎてから。来春の3大学の開学に向け、同委員会の川内博史委員長(民主)が「速やかな対応を」と求めたときだった。

   田中氏はこれに応えて、11月2日の不認可発表以来の発言をすべて覆す形で「3大学の認可については現行の基準や制度にのとって適切に対応したい」と述べた。

   閉会後の会見でも記者の質問に答え、不認可決定の撤回に加えて「この3校については認可します」と明言した。

会見内容が「官邸サイドを怒らせた」?

   プライドの高い田中氏らしからぬ、180度の唐突な方針転換の裏には何があったのか。

   「総選挙を前にして官邸サイドと民主党内の両方から、不認可撤回の圧力がかかった」。永田町関係者はこう見る向きが多い。

   実際、この日は文部科学委員会と平行して民主党の文部科学部門会議が開かれ、3大学不認可問題をめぐって、田中氏に判断撤回を要求する方針を決めている。「3大学は現行基準を満たしているのに、不認可にしては学習権の侵害につながる」といった大臣批判が多数を占めたという。

   田中氏の11月6日の会見内容が「官邸サイドを怒らせた」との見方も少なくない。同氏は会見の席上、3大学の不認可決定について官邸サイドには事前了解を取り付けていたことを暴露し、「藤村官房長官からは『大変結構だ』、野田首相からも『進めてください』と言われていた」と明かしていたからだ。

   自らの失態に官邸を巻き込む「手法」はいかにも田中氏らしいのだが、発足以来最低の支持率(19%)にあえぐ野田政権周辺からは「またも閣僚人事の失敗」という声も漏れていた。

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