契約外の大会に参加してけがすれば解雇の恐れも
スポーツジャーナリストの菅谷齊氏は、第3回WBCに日本人大リーガーの主力級は誰も参加しないとみる。理由のひとつとして、選手が米国に渡った後、考え方が変化した可能性を指摘した。日本球界でプレーしていた頃は大リーグを目標としており、WBCのような国際大会で「大リーガーをやっつけろ」と意識を高めたが、自身が大リーグ入りした後は同じモチベーションを持ち続けていないだろうと推測する。
選手契約内容の絡みもありそうだ。大リーグの公式日程に含まれないWBCは契約項目の対象外となる。「もしも契約外のイベントに出て故障し、チームに迷惑をかけるようなら、解雇される恐れもあります」。日本人選手はリスクを背負いながら、出場するかどうかを判断しなければならない。
所属球団としても、チーム戦略に支障が出かねない選手派遣を望まないのが本音。しかも「別の思惑があるかもしれません」と言う。過去2回のWBCで米チームは優勝どころか、決勝にも進めなかった。日本ほど「真剣勝負」の色合いは濃くなかったにしても、「2大会続けての敗戦は、さすがに米国内でも批判が出ました」(菅谷氏)。球団にとっては、日本人選手をWBCに出さなければシーズン前のけがという危険性を避けられるうえ、結果的に米代表にも有利にはたらく――。こんな「政治的」な動きで参加に「待った」をかけても不思議はない、というわけだ。
仮に大リーガー抜きで戦った場合、日本の3連覇はあるだろうか。過去の大会に出場した経験者は、プロ野球選手の中にもいる。だが菅谷氏は「ダルビッシュ選手をはじめ、日本人大リーガーがそろったとしても優勝は難しい。日本のプロ野球選手だけでは戦力的に厳しく、3連覇は絶望的でしょう」と語った。