前原誠司経済財政・国家戦略担当相は2012年11月7日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、デフレ脱却に向けて日銀に対してさらなる金融緩和を求める一方、2か月連続で緩和策を打ち出したことについては「評価したいと思う」と述べた。
また、いわゆる「景気条項」を念頭に、「消費税を上げられる経済環境に持って行くことが、私の最も大事な仕事のひとつ」と述べ、税率引き上げの前提としての経済成長の重要性を強調した。
衆院小選挙区の「1票の格差」問題については「各地で違憲訴訟が起こる可能性がある」として、「0増5減」法案の成立が解散の最低条件だとの見方を示した。
「消費税上げられる経済環境に持って行くことが最も大事な仕事のひとつ」
前原氏は、
「デフレはまた続いている。日銀には強力な金融緩和を進めてもらわないといけない」
と日銀に注文を付けた上で、
「来年で日銀の白川(方明)総裁の任期が切れるが、今までで初めて2か月連続で金融緩和をしたことについて、評価したいと思う」
「デフレ脱却と合わせて円高基調の是正にも、日銀としっかり協調しながら取り組んでいかなければならないテーマ」
などと述べた。
消費増税を柱とした、社会保障と税の一体改革関連法案については、「野田総理の信念というか執念で」成立したと表現。
「何よりも経済成長が今の日本にとって必要不可欠、最も大事なテーマだと考えている」
「人口減少、少子高齢化、ばく大な財政赤字、こういった日本の課題を克服していくためには、経済成長が大前提になる」
と、財政再建の前提として経済成長が必要だとの見方を示した。消費税率は2014年4月に8%、2015年10月には10%に段階的に引き上げられることになっているが、消費増税法には「名目3%、実質2%の経済成長率」が「努力目標」として明記されている。前原氏は、この「景気条項」を念頭に、
「来年の10月に、最終的に消費税を上げるかどうかの判断を下すことになるが、それまでに、消費税を上げられる経済環境に持って行くことが、私の最も大事な仕事のひとつだと考えている」
と語った。
「各地で違憲訴訟が起こる可能性がある」
衆院小選挙区の「1票の格差」問題については、
「2月の下旬(の最高裁判決)から違法状態が放置されており、この状況は尋常な状況ではないと思う。従って、この状況を放置したまま、立法府が責任を取らないままに総選挙が行われると、各地で違憲訴訟が起こる可能性がある」
と危機感を隠さず、
「従って、最低でも0増5減の法案を成立させる、立法府が責任を果たした、というのが最低限の解散の条件」
「0増5減」法案が成立しない限り解散は困難だとの見方を示した。