「生きていくのにさまざまなつらいことがあった」
孫社長は1957年、佐賀県鳥栖市に生まれた。祖父母の代に韓国から渡ってきた在日韓国人の家系だが、「あんぽん」によると本人は1990年に帰化している。
2010年6月25日に行われた「ソフトバンク新30年ビジョン」発表会では、子どもの頃の経験について言及した。壇上のスクリーンに祖母の画像を映し出し、祖母との思い出を語り始めた。ところが「あれほど好きだったおばあちゃんが、嫌いになった」と言う。「おばあちゃんイコールキムチ、キムチイコール韓国なんです」。詳しく事例を語りたくないとしつつも、当時は「生きていくのにさまざまなつらいことがあった」と振り返った。
「あんぽん」の中でも、子どもの頃に差別を受けたと告白している。だが、「でもそれはいつの時代でも、なにがしかはあったことですよ」と受け止めた。そのうえで、
「僕はやっぱり、生まれ育った国を愛し、その生まれ育った国に少しでも恩返ししたい、貢献したい。それが掛け値なしの純粋な気持ちです」
と強調した。たとえツイッター上で相手が見知らぬ人だとしても、自分の「純粋な気持ち」を否定する「売国奴」のひと言は無視できなかったのだろう。