東海岸、西海岸そして南部はとうに情勢決着
今回の見どころは、米政治の振り子が政府(オバマ)に傾いたままになるか、それとも市場(ロムニー)に反転するかである。
東海岸、西海岸そして南部に住む有権者にとって今回の選挙は気の抜けたビールのようなものだ。大票田であるカリフォルニアやニューヨークはすでにオバマ支持で固まり、一方テキサスなどの南部諸州では圧倒的にロムニー候補が優勢とされる。両候補は夏以降これらの選挙区に顔で遊説を行っていない。
焦点になっているのはオハイオ、フロリダ、バージニアなどの10あまりの激戦州である。これらの州が次期大統領を決めるといっても過言ではない。実際、オバマ大統領は投票日前の最後の週末をウィスコンシン、ネバダ、コロラド、オハイオなどで支持を訴え、一方ロムニー候補はアイオワ、オハイオ、ペンシルベニア、バージニアで遊説した。
このような戦術は、国民が直接大統領を選ぶ直接選挙ではなく間接選挙であることに由来する。つまり11月6日に行われる大統領選挙で選ばれるのは、次期大統領を選ぶ「選挙人」であって、大統領そのものではないわけだ。各州のカウンティ(郡)には人口などをベースにして一定数の選挙人が割り当てられ、ほとんどの州では一位になった候補者がその州の総選挙人を獲得することになる。50州の総選挙人数は538人なので、その過半数である270人を獲得した候補者が勝者になる。全州での得票数で優位であっても、選挙人数で負ければ、大統領になれないわけだ。2000年のゴア候補がその例である。
今年の選挙の行方は、オハイオ(選挙人数は18人)、フロリダ(29人)、コロラド(9人)、バージニア(13人)、ウィスコンシン(10人)、アイオワ(6人)、ノースカロライナ(15人)、ネバダ(6人)、ミシガン(16人)、ニューハンプシャー(4人)の10州が決めることになる。
6日の夜は遅くまでテレビの前に釘付けになりそうだ。
(在米ジャーナリスト 石川幸憲)