南沙諸島の領有権めぐる対立が背景
フィリピンが日本向けのバナナの輸出を増やし始めたのは、2012年5月ごろから。ちょうどこの頃、中国とフィリピンの間では南シナ海での「にらみ合い」が激しくなっていた。南沙諸島の領有権をめぐる対立だ。5月には中国海軍の艦船が、フィリピンが領有権を主張するパラワン島沖のイロコイ礁近くで建築資材を降ろし、ブイや杭を設置する行動に出るなど、「一触即発」の状況だった。
中国はフィリピンにとって、日本に次ぐ世界第2位のバナナの輸出先。しかし、中国が南シナ海の領有権をめぐる対立の「嫌がらせ」の一環として、フィリピンバナナの輸入を制限し始めた。
中国メディアによると、中国がフィリピンからの輸入バナナの検疫を強化し、大連港や上海港では通関できなかったバナナが腐るなどしてフィリピンの業者に総額10億フィリピンペソ(約19億円)相当の被害が出ているという。そこでフィリピンでも、対抗して中国向けバナナの輸出を減らし、その分を日本に振り向けているようだ。