ここ数年、爆発的な伸びを見せてきた、韓国の濁り酒「マッコリ」の輸入が激減している。
韓国メディアでは、竹島(韓国名・独島)問題で両国関係が悪化したり、日本でノンアルコール飲料の消費が伸びたりしたことが背景にあるとみている。だが、日本側の受け止めは少し違うようだ。
マッコリは保存があまりきかず、在庫を抱えられない
韓国関税庁が2012年10月28日に発表した輸出入統計によると、12年1月から9月にかけて日本に輸出されたマッコリの量は2万1743トンで、前年同期比28.6%減少した。金額ベースでも同様で、28.0%減の2736万ドル(約22億円)だった。
この背景として、韓国メディアは業界関係者の話として、(1)竹島問題で日韓関係が冷え込み、ブームがさめた(2)日本でノンアルコールビールの出荷が増えた分、マッコリに「しわ寄せ」が来た、といった見方をしている。
国内のマッコリ輸入業者の多くは販売量の推移などを開示していないが、輸入量が減少した分、ほとんどタイムラグのない形で国内の流通量も減少しているとみられる。マッコリはあまり保存がきかないため、大量の在庫を抱えておくことができないためだ。
10年~11年にかけて爆発的に消費が増える
ただし、国内の業界では、竹島問題が影響したとは見ておらず、むしろ「ここ2年が伸びすぎた」と受け止めているようだ。
日本では06年からマッコリの輸入量が右肩上がりになり、10年に焼酎「JINRO」で知られる眞露が参入し、ブームに火が付いた。この時点ではガラスの瓶やペットボトル入りが主流だったが、翌2011年にはサントリー酒類が缶入りの「ソウルマッコリ」を発売。人気俳優のチャン・グンソクさんをCMに起用し、さらに消費が拡大した。11年に韓国から日本に輸出されたマッコリの量は、前年比2.5倍の3万9000トンだった。
つまり、11年から12年にかけて大幅に減少したと言っても、10年と比べると相当多く、ブームが一段落したあとの「定着期」だと受け止めているようだ。
なお、マッコリの消費量は韓国国内でも減少傾向だが、日本酒の輸入量は7.5%増の2281トンで、逆に消費が伸びている。