あちこちで変電器が爆発
今回のハリケーンは最大風速が毎秒40メーター以上にもなる暴風を伴い、月曜日夜のピーク時にはまさに天が金切り声で叫び、20メーターを超すような大木が柳のようにしなり、左右に大きく揺れるたびに「ギーギー」と悲鳴を上げていた。この光景を台所の窓から見ていた私は、「ひょっとすると今夜、老木が倒れ、わが家も押しつぶされるかも」という恐怖に襲われた。こんな光景が一晩中繰り広げられた。
夜中に妻と外に出てみると、わが家の前の道路が倒木で通行不能になっていた。数軒先の歩道にあった比較的大きな木が根っこからひっくり返り、道路を横切るように倒れていた。空を見上げると、地平線の彼方がボーッと白く浮かび、暫くするとピンクそしてブルーに変幻した。隣人によれば、あちこちで変電器が爆発したからだという。
翌朝目が覚めると、風はかなり止んでいた。裏庭には樫の木の小枝(といっても20キロくらいの重さ)が落ちていたが、自宅に被害はなかった。妻とふたりで自転車に乗り、町を一回りしてみる。想像していた以上の被害だ。いたるところで巨木が根こそぎ倒れ、電柱が真二つに折れ電線が地上を張っていた。大木の直撃をうけた民家もある。幹線道路は数カ所で通行止めになり、迂回の連続で普段10分のドライブが30分にもなる。