LINEで他人のメッセージが誤表示 中国語やタイ語の会話まで流れてきた

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   無料通話・メッセージアプリ「LINE」で、トラブルが発生した。利用者間でテキストメッセージをやり取りする機能で、他人の会話が誤って表示されるケースが報告されたのだ。

   利用者が7000万人を超えて大ヒットしているアプリだけに、電話番号をはじめ個人情報漏れは起きていなかっただろうか。 

混線したのはメッセージ、個人情報はなし

誤表示はパソコン版で起きた
誤表示はパソコン版で起きた

   「LINE」の公式ブログが2012年10月31日に発表したところによると、同日19時ごろ、パソコン版で数分間「送信者不明の状態でメッセージが混線してランダム表示される問題」が一部の間で起きたという。修正を施したうえ、この報告の時点では既に回復したと説明し、合わせて謝罪した。

   LINEでは、「トーク」と呼ばれる機能で登録した友人とテキストメッセージのやり取りができる。これが不具合を起こしたのだ。ツイッター上では、「知らない他人の会話が流れ込んできた」「数人からタイ語と中国語が混ざったメッセがきて少し困惑中」などと書き込んだ利用者が複数現れた。

   運営会社のNHNジャパンに取材すると、「原因や被害の範囲については現在も調査中」だという。

   ただし、混線したのはメッセージ内容で「IDや氏名、電話番号といった個人情報に該当するものはありません」と説明する。加えてメッセージは「送信者不明」で送られていたため、電話番号やIDから個人を特定することは不可能という。11月1日17時過ぎの時点で、利用者から個人情報が漏れたという連絡は入っていないとの話だ。

   一方、混線したメッセージ内容は「通信の秘密」に当たるため、NHNジャパンでは確認できないという。ツイッターには利用者が「自分の会話もどっかに流れちゃってるのかな」と懸念する投稿があった。メッセージ内に電話番号や個人名などを記述、送信して、それが第三者のLINE上に誤表示されている可能性も今のところゼロとは言えない。モバイル通信事情に詳しい武蔵野学院大学准教授の木暮祐一氏はJ-CASTニュースに対し、「他人の情報が表示されるなど、本来あってはならないことだ」と指摘する。

   10月25日までに登録利用者数が世界で7000万人、国内でも3200万人を突破したLINEだが、最近では悪用する事件も増えてきた。10月中だけでも、元交際相手の女性にLINEで「迷惑メッセージ」を600回以上送信した男がストーカー規制法違反と脅迫容疑で、また大阪では男性会社員がLINEで知り合った女子高生にみだらな行為をしたとして、いずれも逮捕された。利用者急増とともに、社会に与える影響も大きくなってきている。

電話帳データを第三者に渡す重大さを意識していない?

   無料通話・メッセージアプリをスマートフォン(スマホ)にインストールする場合はLINEに限らず、スマホに登録してある「電話帳」データの送信を求めるものが多い。アプリ側がサーバーに取り込んだデータを照合し、本人の番号を知っている人が他の利用者の中から見つかれば「友だちの可能性が高い」として知らせてくれる。検索しなくても知人を発見しやすくなるが、電話帳データをそっくり預けることに抵抗があるとの声も聞かれる。

   木暮氏は、電話帳情報に対する考え方に「ゆるさ」が出てきたのではないかと懸念する。従来型携帯電話の場合、サービスを提供する主体の通信事業者は電話番号のような個人情報の取り扱いに非常に慎重だった。だがスマホでは、利用者本人がダウンロードする各種アプリの使用は「自己責任」の度合いが強い。LINEをインストールした利用者が、「自分だけでなく、友人の電話番号など個人情報が詰まっているデータを(LINEという)第三者に渡すという『事の重大さ』を、ほとんど意識していないのではないでしょうか」。

   フェイスブックやmixiとはやや異なり、LINEは「これまでメールのような形態の交流方法を好んで使っていた層に受け入れられたと思います」と木暮氏。携帯電話でのメールのやり取りは、通信事業者がセキュリティー対策を施しており、何よりも電話帳情報を業者に「譲渡」する必要はなかった。LINEは、今までと同じ感覚でメールのようなコミュニケーションを楽しめるが、その陰に「電話帳提供」という条件が加わっている。木暮氏は「類似のサービスが増えれば、危険なアプリが登場しないとも限りません。電話帳データを提供すれば、万一トラブルが起きると友人に大きな迷惑をかけるリスクが生じると認識してほしい」と助言する。同時に、今回問題が起きたLINEに対しては「運営側が、通信事業者の意識を高めて安全性に十分配慮する必要があるでしょう」と戒めた。

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