楽天グループのKobo(コボ)は2012年11月1日、電子書籍端末の新機種「kobo glo(グロー)」と「kobo mini(ミニ)」を発売すると発表した。
koboをめぐっては、日本語コンテンツの数を実際よりも多く宣伝していたとして、消費者庁から指導を受けたばかり。年内には20万冊を達成するという目標をかかげているが、楽天の三木谷浩史会長は、実現は微妙だとの見方を示した。
新機種は寝室や飛行機の中での利用に向く
新機種の「glo」は、前面にライトがつき、6インチ電子ペーパーの解像度が上がったことが特徴。処理速度が25%向上し、ページをめくるスピードも速くなった。寝室や飛行機の中での利用に向いている、としている。「mini」は、手のひらサイズの5インチ電子ペーパーを搭載した。発売日はそれぞれ11月15日、12月中旬で、価格は7980円、6980円。すでに発売されている「touch(タッチ)」は、7980円から6980円に値下げする。
今後、アンドロイドやiOS対応のソフト、カラー画面対応端末も発表予定だ。
koboは、アマゾンの「キンドル」、iPad(アイパッド)をはじめとするタブレット型端末など、競合が多い。三木谷氏は、koboが軽い点や(「glo」は185グラム)、電池の「持ち」がいい点(最長1か月)を強調し、
「PCとタブレット端末が違う以上に、我々はタブレットと電子書籍端末は違うと思う。電子ブックの中で中核になっているのは白黒端末。白黒端末という分野においては、我々は絶対的な自信を持っている」
と、強気の姿勢は崩さなかった。他社の一部端末が対応している3G通信機能については、
「今の段階ではお答えできない」
と述べるにとどまった。
「他の電子書籍と比べて苦戦しているのでは」
との見方に対しては、
「そんなことはない」
と反論しながらも、現時点での出荷台数については明かさなかった。
無料配布には「どういう販売促進をしているかについては、お答えできない」
また、kobo「koboイーブックストア」のオープン当初7月1日時点の日本語コンテンツを「約3万冊」と表記していたにもかかわらず、実際には1万9164冊だったとして、景品表示法上不適切だとして消費者庁から行政指導を受けている。この点については、三木谷氏は、
「3万冊のコンバージョン(電子書籍規格の変換)が終わる予定だったが、オペレーションの手間がかかったということで、少し遅れてしまったことはお詫びしなければならない」
と陳謝。ただし、「12年中に20万冊」という目標については、
「あと2か月で13万5000冊。結構大きなかたまりで、1万冊とか、2万冊とか、そういう単位で入ってくる予定がある。そのタイミングがうまく合えば、20万冊までいけると思う。それが多少ずれれば、1月になってしまうということもあるかも知れない」
といい、実現可能性については微妙な言い回しながらも、撤回はしなかった。
楽天カードのプレミアム会員に「会員様プレゼント」としてkobo touchが無料で配られ、ネット上で騒動になったこともあった。この点については、
「どういう販売促進をしているかについては、お答えできない」
と、コメントしなかった。