貸出金利の上限引き下げやグレーゾーン金利の撤廃、貸出枠の総量規制、過払い金の返還請求と逆風にさらされてきた消費者金融に、ようやく明るさが見えてきたようだ。
最大手の「アコム」は2013年3月期第2四半期(2012年4~9月期、累計)の業績予想を上方修正するなど好調。SMBCコンシューマーファイナンスの「プロミス」や新生銀行の「レイク」、Jトラストの「武富士」などはテレビCMでの露出が増えている。
良質顧客の取り込みに注力
アコムが10月26日に発表した2013年3月期第2四半期の業績予想(単体)によると、営業利益は前回予想(5月10日)と比べて57億円増えて240億円、経常利益は68億円増の263億円、当期純利益は57億円増えて279億円になる見通しで、好調だ。
その理由を、アコムは「貸出債権が良化していることで、利息収益が増えているため」と話す。貸出残高も「反転とはいかないですが、減少速度は鈍化してきました」という。
重荷になっていた過払い金の返還訴訟について、アコムは「まだ完全に払拭できていません」という。そのため通期での業績見通しは修正しておらず、慎重な姿勢を崩していないものの、だいぶ落ち着いてきてはいるようだ。
グレーゾーン金利の撤廃や、年収の3分の1を貸出枠の上限とする総量規制の導入で、貸出残高を大きく減らし、経営破たんや廃業が相次いだ消費者金融だが、業界全体でも12年度は月々の貸付金額(平残)が8月を除いて前年を上回っていて、1か月あたり2221億円を超える。月間契約件数も1か月に80万件超え、前年に比べると8%超も伸びている。8月の成約率は前年同月比3.7ポイント上昇して36.1%だった。
日本貸金業協会は、「貸付金額は徐々に増えています。どこも良質な債権の確保を狙いに、新たな顧客層の取り込みに注力しています」と話している。