石原慎太郎都知事の辞職が2012年10月31日、都議会で正式に承認された。次の都知事を選ぶ都知事選の日程も11月29日告示、12月16日投開票と日程が決まった。今後の焦点は「誰が出馬するか」。現段階では、前回2011年の都知事選で169万票を得て次点だった東国原英夫・元宮崎県知事と、石原知事から後継指名を受けた猪瀬直樹副知事が有力候補として取りざたされている。
泡沫候補を除くと、誰も正式に名乗りを上げた人はいないが、東国原氏は連日のようにテレビで思わせぶりな発言を繰りしており、テレビでの露出で支持拡大を狙った「後出しじゃんけん」戦略なのではないかとの見方が広がっている。
猪瀬氏は出馬には慎重姿勢?
石原氏から後継指名を受けた猪瀬氏は、10月25日の段階で
「都政に空白がないように、全力でまず、今の筆頭副知事の立場で仕事を続ける」
と表明。
「今の段階でまだ、都知事選に立候補する明確なお気持ちは、まだないということでしょうか?」
との質問には
「はい、そうです」
と答え、現時点ではきわめて抑制的だ。都議会との折り合いが悪く、出馬しても苦戦するとの見方もある。
一方の東国原氏は、ツイッターで
「昨夜、東京駅にかなりの数のマスコミの方々が集まっておられた。折角集まって頂いたのに、目新しい事、特段話す事は何も無く大変申し訳無かった」(10月27日)
「わざわざ取材に来て頂いても、大変申し訳無いが、何もお答えするものがないのだ。本当に申し訳無い」(10月28日)
などと発言。連日のテレビ出演でも、同様の発言を繰り返している。
「『どうするんだ都政?』みたいな、客観視というか傍観視しています」
ただし、少し様子が違ったのが、10月29日朝放送の「やじうまテレビ」(テレビ朝日)。
時事通信・田崎史郎氏が
「出馬しない意向である、と(書いてもよいのか)」
と水を向けると、東国原氏は
「現時点では計画も予定もない。現時点でですね。ですから、どうお答えしていいのか分からない」
と、ややうろたえた様子に。田崎氏が
「不出馬ということでよろしいんですね」
と追い打ちをかけると、
「そうですね、寝耳に水、晴天の霹靂だったものですから、それでね、石原さんがお辞めになって。『どうするんだ都政?』みたいな、客観視というか傍観視しています」
と慌てた様子だった。
なお、この様子を見ていた中尾彬さんは同番組で翌10月30日
「昨日、うそついてるみたいだった。目が泳いでた」
と指摘していた。
11年都知事選の出馬表明は告示の2日前だった
東国原氏が、ここまで出馬表明を「引っ張る」のは、メディアの露出を高めることで得票につなげる狙いがあるとの見方もある。例えば、11年の都知事選が告示されたのは3月22日だったが、石原氏が出馬表明をしたのが3月11日だったのに対して、東国原氏の出馬表明は、告示のわずか2日前の3月22日。「後出しじゃんけん」手法を最大限活用したとみられているが、本人は前出の「やじうまテレビ」の中で
「記者会見をしようとした時に、震災が起きた。それで全部中止になった。なので、結局はギリギリになった。2日前で、出馬をしないという選択肢も十分あった。石原さんが(すでに)お出になると言っている。誰が出るとか、そういうことは関係ないです。自分が何をしたいか、何を訴えたいか、ということ」
などと釈明していた。
民主党や自民党は今のところ独自候補の擁立をめざして対応を検討中だ。