大学の学園祭で「禁酒」の動きが広がっている。一橋大学では、2012年の学園祭内での酒類販売、飲酒、酒類の持ち込みが全面禁止されることとなった。
過去に泥酔者を出したことや、危険な飲酒への意識の低下が原因らしいが、「飲めない学祭なんて楽しくない」などと反発の声が多く上がっている。
「禁酒としなければ一橋祭の開催は認めない」
2012年10月24日、一橋大学の学園祭の公式サイト「一橋祭(いっきょうさい).com」に「第43回一橋祭における禁酒措置に関して」という文書が掲載された。
文書では、「禁酒措置」について、大学側から一橋祭運営委員会に決定事項として伝えられた、と説明されている。理由として、11年度の一橋祭で泥酔した一般来場者が救急車で搬送されたが、運営委員でなく大学職員が通報や介抱の対応をしたこと、過度な飲酒を制御できなかったことで委員会は信用に欠ける、などを挙げている。また、禁止されている学内での飲酒などが発覚し、学生間における酒類の危険性に対する意識が低下している、とも指摘している。5月の会合の時点で、副学長から「禁酒としなければ一橋祭の開催は認めない」とまで言われていたという。
委員会は飲酒規制案の作成や過度な飲酒に対する自主規制の署名を行って、なんとか学園祭で飲酒できるよう働きかけたが、大学側からの信用を得るに至らず、禁酒措置が決定してしまった。
駒場祭、自主法政祭でも全面禁酒
一橋大学以外にも、度重なる飲酒事故などにより、学内や学園祭での飲酒を禁止する大学が増えてきている。
東京大学の「駒場祭」でも、2012年は酒類の取り扱いが全面禁止となった。こちらは未成年飲酒の予防と、7月に教養学部生が飲酒事故で死亡するという事故があったことが理由として挙げられている。
法政大学では11年4月から学内での飲酒を原則禁止としているが、「自主法政祭」では時間や場所などの制限付きで飲酒可能だった。しかし12年は、東京・市ヶ谷キャンパスの自主法政祭で全面禁酒が決まった。こうしたことを受け、10月19日には市ヶ谷キャンパスで飲酒規制などに反対するデモが行われた。警察が出動するなど、大騒ぎとなった。
そうした運動が行われるほど、学園祭での禁酒に反発する人は多い。ツイッターでは、「うーん…昼間からやってる学祭での飲酒が深刻なリスクになるとは考えにくいと思うんだけど」「学祭で呑めないなんて、考えられない。一晩中、飲んでたもんなぁ」「寂しいなぁ。せっかくみんなで一緒に飲める場所やのに」などと残念がる声が多く見られる。
一方京都大学の「11月祭」では特に禁酒措置などは発表されていない。京都大学OBは、「特に大学で飲酒したい強い気持ちがあるわけではないが、もし禁酒措置が取られたら嫌な気分になる。『大学側から禁止される』というのが嫌だ」と話していた。