財務省は、国債市場に参加する銀行や証券会社の関係者を集めた会合を2012年10月26日に開き、「赤字国債発行法案がこのまま成立しないと、12月4日の10年国債の入札実施が難しくなる」との見方を示した。
政府は毎月約10兆円ずつ国債を発行している。これまでは赤字国債の代わりに公共工事に充てる建設国債や財政投融資に回す財投債などの枠を使って発行してきたが、11月末に赤字国債以外の今年度分の発行枠を使いきる。赤字国債法案が成立しなければ、12月以降に予定していた約38兆円の国債を発行できなくなる。
国債発行が止まれば長期金利が上昇し、国債を多く保有する金融機関の損失が増えたり、計画されていた公共事業がストップしたりする可能性がある。
会合は国債の落札額が多い国内外の有力金融機関を集めて開かれた。通常は四半期に1度、市場動向などの意見聴取のために開いているが、今回は赤字国債発行法案の成立のめどが立たないことから、影響を懸念する金融機関側の要望を受けて臨時に開催した。