橋下市長、石原新党へ歩み寄り 「メディアで言われているほど隔たりない」

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   東京都の石原慎太郎知事が辞任の意向を表明し、新党を結成することになった。最も注目されるのが、大阪市の橋下徹市長が率いる日本維新の会との連携だ。この成否が、自民、民主に次ぐ「第三極」の行方に大きく影響するからだ。

   橋下市長は2012年10月26日朝の囲み取材で、石原新党と政策面で歩み寄りたい考えを繰り返した。

現時点で一致できていないのは憲法改正とエネルギー問題

   石原知事が10月25日に開いた会見では、維新の会については

「まず連携、連帯」

と述べるにとどまったものの、橋下市長に対しては

「彼の辣腕だったら、(市政の問題は)1期やったら解決する。その後、彼が立候補したらいい。私はワンポイントの先発ピッチャーでいく」

と、ラブコールを送っていた。

   10月26日朝の橋下市長の囲み取材は35分以上に及び、そのほとんどが石原新党への対応についてだった。なお、通常であれば、囲み取材は15分程度で終わることが多い。

   冒頭、橋下市長は、

「これからの協議次第。メディアで言われているほど隔たりはない。ただ、一番肝心な部分に、メディアの皆さんが有権者を代表して質問して来たときに口ごもってしまったら、見放されることは間違いない」
「石原都知事とも、一番肝心な部分の政策、理念、価値観、こういったところは絶対に一致させないと有権者から、そっぽを向かれるということを繰り返し言っているところ」

と、連携には政策や理念の面でのすり合わせが不可欠だということを繰り返して強調した。その上で、現時点で完全に一致していない政策分野として、憲法改正問題とエネルギー政策の2つを挙げたが、いずれについても、溝を埋めていくための努力をする考えのようだ。

エネルギー問題「きちんと説明すれば理解してくれる」

   憲法問題については、

「昨日の会見でも、石原都知事は『廃棄』というところは、微妙に表現されてましたよ」
「憲法を何とかしなきゃいけないというのは、そこは一緒」

と述べ、石原知事が、橋下市長が主張する「改正」に傾きつつあるとみているようだ。

   エネルギー問題については、旧原子力安全・保安院などが機能不全に陥っていたことなどから、

「そもそも、今原発を動かしているルールが無茶苦茶」

などと主張。

「今のような形で、原発推進と言えなくなってくる。ここは石原都知事にきちんと説明すれば、おそらく理解してくれるところだと思っている。石原都知事は、『とにかく先にゼロと決めるな。その過程が大事』だと言っている」

と、石原知事に理解を得たい考えだ。

国会議員団の公約案を「稚拙ですね。拙い」と一蹴

   囲み取材の中では、橋下市長が維新の会の政策を「拙い」と一蹴する場面もあった。同日、維新の会の次期衆院選に向けた公約案として、終戦100年にあたる2045年を目標に在日米軍の全面撤去を目指す内容が盛り込まれたと報じられたのだ。

   この点について、橋下市長は、

「叩き台中の叩き台」
「(内容は)知りません。国会議員団が議論している。(国会議員団と橋下市長とのすり合わせは)何もない。表現の仕方とか、表(へ)の出し方が稚拙ですね。拙い」

と国会議員団を批判し、

「(維新八策に県外移設を盛り込もうとして波紋を広げた)普天間の移設の話で、国会議員は懲りてると思うんですけどね~」

と、あきれた様子だった。

   この原案をめぐっては、維新の会のブレーンとして知られる上山信一・大阪府市特別顧問が、ツイッターで、

「これは一部の国会議員が私的に書いたたたき台。維新の公約案でも何でもない。あり得ない愚案」
「政調会で議論すらされていない単なる私的ペーパーです。それを公約と各マスコミもどうかしてますが、議員の渡し方も問題です」

と、強く非難している。

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