歴史認識問題で菅直人「首相談話」を評価 駐日韓国大使が「非常に良いもの」

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   竹島(韓国名・独島)問題をめぐって日韓関係が冷え込むなか、韓国の申●秀(シン・ガクス、●は王へんに玉)駐日大使が2012年10月25日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、両国間の交流を増やすことの重要性を強調した。

講演する韓国のシン・ガクス駐日大使。日本語にも堪能だ
講演する韓国のシン・ガクス駐日大使。日本語にも堪能だ

   歴史認識の問題をめぐっては、過去の日本政府の声明を相当程度評価する一方、「もっと犠牲者の心情を意識してほしい」などと指摘。李明博大統領が天皇陛下に謝罪要求をしたとされる問題には「日本のメディアによって、非常に誤った解釈をされている」と釈明した。

   申大使は11年6月に着任。80年代後半にも1等書記官として駐日大使館に赴任したことがある。この日の会見はすべて英語で行われたが、日本語にも堪能で、外交通商部の中では「ジャパン・スクール」として知られている。ツイッター(@ksskorea)の活用にも積極的で、12年8月にはツイッターを通じて朝日新聞のインタビューを受けている。

「問題なのは、政治家が日本政府の公式声明を否定してきたこと」

   会見では、申大使は歴史認識問題について

「日本政府が、さまざまな局面で謝罪をしてきたことは事実。首相や天皇陛下も、日本による植民地支配について多くの声明を出してきた」

と、日本側の対応を評価。特に2010年に菅直人首相(当時)が発表した、

「痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです」

という談話については、

「非常に良いもので、韓国でも広く受け入れられていると思う」

と述べた。その一方で、

「しかし問題なのは、多くの日本の政治家が日本政府の公式な声明を否定したり、論争を仕掛けてきたこと」
「政治家には、政府の声明を否定したり歪曲したり軽視したりせずに、同意してほしい」

と、日本政府が謝罪声明を出したとしても、日本国内から批判が出ることで、問題が複雑化していることを指摘した。今後の日韓関係についても、

「文化交流や観光で、多くの韓国人が、日本の『あるがまま』の姿を見ている。歴史問題の懸案が解決すると、この『過去の傷を癒やす』という自然なプロセスを促進できるのではないか。日本人や日本の報道関係者には、もっと犠牲者の心情を意識してほしい」

と注文した。

大統領謝罪要求「日本のメディアによって、非常に誤った解釈をされている」

   李大統領による天皇陛下への「謝罪要求」問題については、

「この発言は、先生のためのワークショップの中で出たもので、外交問題について発言する意図はなかった。ワークショップは、学校内暴力への対応がテーマ。ある先生が大統領に、独島訪問の背景を尋ねたところ、大統領は訪問の経緯を説明する中で、『もし日本の天皇が韓国を訪問するとすれば、日本側から何らかの謝罪があるだろう』と言及した。したがって、この発言は、天皇陛下の訪韓を念頭に置いたものではない」

などと釈明した。

「発言の一部分がメディアに取り上げられ、誤解が起きた」
「日本のメディアによって、非常に誤った解釈をされている」

と、「誤解」という言葉を繰り返した。

   李大統領が12年8月に竹島訪問を強行したことについては、記者から、

「韓国が実効支配しているのに、何の利益があるのか」

と疑問の声も出た。

   申大使は

「損得の問題ではない。韓国では、多くの人が歴史問題だととらえている。『この島をめぐっては、日本とは領土問題は存在しない』というのが公式見解」

と原則論を主張した上で、日本政府が竹島を島根県に編入する閣議決定を行ったのが、日韓併合の5年前にあたる1905年だったことから、

「多くの韓国人が、独島を『日本の侵略の最初の犠牲者』だととらえている」

との見方を紹介した。その上で、

「日本で、この島(竹島)に関する声明が出るたびに、韓国人は傷ついている」
「日韓の友好関係にとって、ある意味『踏み絵』になっている。非常に、感情に関係した問題」

などと理解を求めた。

   訪問の目的については、チェジュ島や、北朝鮮から砲撃を受けたヨンピョン島など、離島訪問の一環だと説明。竹島訪問が「人気取り」だとの見方に反論した形だ。

K-POPは「他国とは練習量が比較にならない」

   また、世界各国で人気のK-POPについても分析。楽曲の作詞や作曲がヨーロッパやハリウッドなど、韓国以外にも発注されていることから、

「生み出されるプロセス全体がグローバル化している」

と指摘した上で、

「小学校や中学校の時から、系統だったトレーニングを行っている。日本や世界中のその他の国の芸能人とは、練習量が比較にならない」
「特に日本にとっては、経済的理由も関係しているのではないか。K-POPの方が、日本のポップ歌手よりも割安なのではないか」

と、練習量と「割安感」も人気の背景にあるとの見方を示した。

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