「90%は公にされている情報で実行可能」
田中法相の場合、本人が代表を務める政治団体が、外国人の経営する企業から2006~2009年に計42万円の政治献金を受け取ったとされる。政治資金規正法は、外国人からの寄付を禁じている。
飯島氏の手法にしたがって、衆院議員である田中法相の過去2回の衆院選における政治資金の流れを追っていたらどうだっただろうか。直近の選挙は2005年と2009年に行われており、政治献金を受領したとみられる時期をカバーしていた。この期間の収支を確認しておけば、田中法相が閣僚として「不適格」ということが分かった可能性は高い。
番組では挙げなかったが、ほかにも「身体検査」項目があるようだ。雑誌「プレジデント」2011年8月29日号に掲載された、元外務官僚で作家の佐藤優氏との対談記事の中で飯島氏は、「カネとオンナの問題を調べるほかに、内閣の政策についてきちんと賛同できる人間かというのも調査する」と述べていた。女性スキャンダルのような人間関係、首相に造反する恐れがないかといった政治家としての内面についても検査対象としたようだ。ただしその前段で、身体検査の「手のうち」はすべて明らかにはしないとも語っており、「飯島流」の核心には触れていないかもしれない。
もうひとつ興味深いのは、検査は「誰にも頼ることなく、全体の90%は、公にされている情報で実行可能」と話している点だ。裏を返せば民主党政権では、こうした公開資料を丹念にチェックしていないために、田中法相をはじめ閣僚の辞任や交代が相次いでいるのではないか、とも推測できる。