4件すべて誤認逮捕と認め謝罪  PC不正操作事件で分かった、いいかげん捜査

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   遠隔操作ウイルス(なりすましウイルス)に感染したパソコンから犯行予告が書き込まれた事件をめぐり、警視庁と大阪府警は2012年10月21日、誤認逮捕した男性2人にそれぞれ謝罪。これで同種のパソコンを使った犯罪予告事件4件を捜査した4都府県は、誤認逮捕した4人全員に捜査の非を認めて謝罪した。

   一連の誤認逮捕に関しては、IPアドレスに頼りきった捜査のずさんさに加え、否認を認めず自供をあくまで促す捜査体質など数々の問題点が指摘されている。

IPアドレス重視の捜査手法に落とし穴

   4人の「容疑」は、①神奈川県警に2012年7月1日に逮捕された都内の男子大学生は、6月末に横浜市のHP掲示板に小学校襲撃を予告②大阪府警に8月26日に逮捕された大阪のアニメ演出家は、逮捕の約1ヶ月前、大阪市のサイトに大量殺人を予告③警視庁に9月1日に逮捕された福岡の男性は、8月末に都内の幼稚園などのHPに襲撃を予告④三重県警に9月14日に逮捕された男性は、その4日前に2ちゃんねるに伊勢神宮爆破を予告―となっている。

   これらについて新聞報道などから捜査の実態を検証してみると、高度なサイバー犯罪捜査の立ち遅れとともに、旧来から問題視されてきた捜査体質も誤認逮捕の温床になっているようだ。

   まず①については、大学生は当初容疑を否認していたにもかかわらず、「早く認めたほうが有利」「認めないと少年院送りになる」といった捜査員の発言で自供を促し、大学生は上申書まで書いたという。捜査員は「誘導などはしていない」「上申書も大学生が自ら書いた」と主張しているとされるが、無実の罪を進んで認める人間が果たして存在するだろうか。

   ②についても、アニメ演出家の男性は当初から一貫して容疑を否認。実名で犯行予告が行われたことから府警内部では不自然さを指摘する声があったものの、結局はIPアドレスなどを決め手とされて逮捕された。

   また③は基本捜査に関する問題点が指摘されている。警視庁は男性が容疑を否認しているのに予告を送信した時間帯のアリバイを調べることもなく、男性のパソコンのウイルスチェックすら怠っていたとされる。

   ④については、三重県警は4都府県警の中で唯一、遠隔操作ウイルスを発見したとはいえ、男性を逮捕した際の記者発表では「書き込みができたのは男性しかいない」という内容の説明をしていたという。

サイバー犯罪対策の専門セクションを設けていたが…

   警察庁は20世紀最後の年となった2000年に「警察庁情報セキュリティ政策体系」をつくり、最重要課題の一つとして「サイバー犯罪対策の推進」をうたっている。

   2004年には「サイバー犯罪・サイバーテロに立ち向かう警察」をサブタイトルに据えた「警察庁情報セキュリティ政策体系2004年」を新たに示し、翌年の「警察庁情報セキュリティ重点施策プログラム2005」によって、「サイバー犯罪の根絶に向けた取り組み強化」を具体的に打ち出していた。都道府県警察でもサイバー犯罪対策の専門セクションを設けるなどしていたが、今回の誤認逮捕はこうした施策の実効性が疑問視されても仕方がない大失態だ。

「警察・検察をはめてやりたかった、醜態をさらさせたかった」
「警察・検察の方へ、あそんでくれてありがとう」

   なりすましメール事件の犯人と見られる人物が10月10日夜、TBSに送信した犯行声明のメールである。

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