三振を取れる変化球の習得が必須
日本のプロ野球では、高卒での入団1年目から活躍するスーパールーキーがこれまでにも登場した。だが米球界の場合はマイナーレベルのすそ野が各段に広く、大谷投手のような逸材でもすぐにメジャーで投げるのは考えにくいようだ。大リーグ評論家の福島良一氏はツイッターで「マイナーでの厳しい生存競争に勝ち、5年後メジャーで投げる日が待ち遠しい」とつづっている。なぜ「5年後」としたのか、同氏は2012年10月22日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で明かしている。
大谷投手が契約した場合、マイナーの最下層にあたるルーキーリーグからスタートし、以後は実績に応じて1A、2A、3Aと上がり、高い評価を得られればメジャー契約に至る。各段階で1年はかかるため、福島氏は「5年」という年数を見積もったようだ。
スポーツジャーナリストの菅谷齊氏も同様の考えだ。J-CASTニュースの取材に対して、「米球界は日本と比べて選手層が違う。中南米出身者を筆頭に、150キロ台の速球投手はゴロゴロいます」と、順調に成長してもメジャー昇格は数年先とみる。米国では有望株の投手に対し、まず球のスピードを重視し、段階を追ってコントロールをつける指導をすると話す。大谷投手が米球団のスカウトの目にとまったのも、最速160キロの剛腕が魅力だったからだろう。後はカーブやチェンジアップ、スライダーといった変化球を「三振が取れる球」となるように磨きをかけられるかが成功へのカギだと菅谷氏。
一方で、「マイナー修行」の意外とも思える利点を挙げた。仮に日本の球団に入ったとしたら、岩手育ちで野球漬けの日々を送ってきた大谷投手にとって「都会の『誘惑』が多いかもしれません」。一方でマイナーのルーキーリーグや1Aなどは米国の小さな街に本拠地を構えている。高校生活同様、野球に集中できる環境に引き続き身を置くことが、メジャーへの階段を駆け上がる近道になるかもしれない。