朝日新聞も見放した野田首相 「早期の解散も逃げてはならない」

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   民主、自民、公明3党の党首会談が物別れに終わった。野田佳彦首相は衆院解散、総選挙について「近いうちに国民に信を問う」と発言しており、自公側が具体的な時期を示すよう求めたが、首相がこれに応じなかったためだ。

   主要紙は会談翌日の朝刊の社説で取り上げたが、中でも朝日新聞は首相に手厳しい。「責任感がないのか」と糾弾したうえ、「早期の解散も逃げてはならない」とまで踏み込んでいる。

読売、毎日は社説で野党側の努力も促す

野田首相は党首会談でも「近いうち」の具体的時期を明言しなかった
野田首相は党首会談でも「近いうち」の具体的時期を明言しなかった
「野田首相は、政権の延命がそんなに大事なのか。さらなる離党者が出ることが、それほど怖いのか」

   2012年10月20日付の朝日新聞朝刊の社説は、冒頭から野田首相をバッサリだ。19日に開かれた自民・安倍晋三総裁、公明・山口那津男代表との党首会談で、首相が赤字国債発行法案や衆院の「1票の格差」是正に協力を求める一方、自公側から迫られた衆院解散の具体的な時期について、明言を避けたためだ。

   党首会談の前日に行われた3党の幹事長会談の後、民主の輿石東幹事長が首相の「近いうち」発言について報道陣に、「重く受け止める、だけでは野党も合意しないことは、首相も分かっているだろう」と述べ、党首会談では新しい提案もあるのではないか、と話していた。だが実際は、首相の対応に変化は見られなかった。安倍総裁は「新しい提案があるから、と待っていたら、2か月前に谷垣禎一前総裁と約束したことと同じ言葉しかなかった」と失望感をあらわにし、山口代表も「非常に国民をバカにした話だ」と怒りを隠さなかった。

   朝日の社説では、首相が「要求するばかりで、相手の求めにはゼロ回答では、話し合いは成り立たない」と指摘。「首相には、政治を前に進める責任感がないのか。そんな疑いを禁じ得ない」と続けた。

   他紙も社説で会談決裂を論じているが、首相の姿勢を批判しつつも「3党は、もっと積極的に妥協点を探るべき」(読売新聞)、「安倍総裁も年内解散に固執するあまり、最初から審議拒否で臨むような対応を取るべきでない」(毎日新聞)と、野党側にも努力を促している。だが朝日の社説には、同様の記述は見られない。首相や民主党の責任を追及する色合いが濃い印象だ。

一体改革関連法成立後「政権の惨状は目を覆うばかり」

   野田首相は8月8日、自公との党首会談で、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が成立したら「近いうちに国民に信を問う」と約束、2日後の衆院本会議で同法案の可決、成立にこぎつけた。ところが「近いうち」がいつなのか、明らかにしない。今回の党首会談でも首相は「言葉の重みは十分自覚している」と従来の発言を繰り返すにとどまった。会談後の会見で「だらだらと政権の延命を図るつもりはない」と話したが、具体的な時期は見えないままだ。

   朝日の社説では今回の党首会談だけでなく、「一体改革関連法が成立した後の、野田政権の惨状は目を覆うばかり」と、政権担当能力をも疑問視している。最近では田中慶秋法相が、暴力団関係者との交際や外国人企業からの献金が取りざたされたうえ、「理由にもならない理由で国会審議を拒否」したことに「驚くばかりの無責任さ」「こんな閣僚をなぜ起用したのか」と首相の任命責任を問う。そのうえで、

「いまの野田政権は、政権の体をなしていない。そう批判されても仕方あるまい」

と断じた。

   10月29日には臨時国会が召集される予定で、そこでは赤字国債発行法案をはじめ重要法案が目白押しだ。自公をはじめ野党の協力がなければ、成立どころか審議すらままならない。朝日は最後に、これらの法案を処理するために必要なら「自公両党が求める早期の解散も逃げてはならない」と、首相に詰め寄っている。

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