復興予算が中韓交流事業に使われる 竹島・尖閣騒動後、中国分は延期

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   震災の風評被害を抑える口実で、復興予算は、青少年の中韓交流事業などにも「流用」されていた。竹島・尖閣騒動後は、韓国とは予定通り続けられたが、中国とは交流が延期されたことが分かった。

   復興予算は、外務省の青少年交流事業72億円余にも「流用」されていたが、中韓には、その3割に当たる21億円ほどが充てられていた。

震災の風評被害を抑えるというのが口実

   外務省の事業は、2012年3月で終了した5年間の事業と似た内容で行われた。復興増税したお金が使われるわけだが、外務省側は、震災にからめて終了事業を継続させたことを否定し、あくまで別の事業と説明している。

   風評被害の抑制やイメージ改善といった目的がある点で、終了事業と違うというのが、外務省側の説明だ。今回の事業は、「キズナ強化プロジェクト」と呼ばれている。

   計画によると、来日の旅費や食費は日本政府が全額負担し、北米などとも合わせて年間1万人を日本に招待する。

   ところが、事業では、被災地での活動は2日ほどで、残りの10日ほどは京都・大阪などでの観光であることが分かった。

   日中交流で、14億円余も充てられたのが、公益財団法人「日中友好会館」(会長・江田五月参院議員)だ。

   その復興目的について、総合交流部では、こう説明する。

「復興状況を見たり、被災体験を聞いたりして、中国の学校などで回りの人に発信してもらいます。被災地では、観光客が減ったり、中国への輸出に影響が出たりしていますので、その風評被害を払拭してもらうわけです。日本に行くことで、観光産業の復興にも役立つと思います」

   学校の生徒ばかりでなく、メディアの人も招くという。

8日の日程のうち被災地入りは3日だけ

   8日の日程のうち被災地入りは3日だけだが、「東京などほかの地域も、震災前と変わらず活力ある生活や安定した環境であることを発信してもらうことにしています」と言う。

   6億円余が充てられている日韓交流事業の日本側代表である公益財団法人「日韓文化交流基金」(理事長・内田富夫元駐スウェーデン大使)でも、その復興目的について、同様な理由を話した。

   ところが、竹島・尖閣騒動後は、2団体で対応が分かれた。

   日韓文化交流基金では、日本の中学・高校の生徒が韓国へ行く交流もあり、生徒の親からは反日デモなどの動きに心配の声が上がった。しかし、基金側が安全であることを説明し、韓国からの受け入れも含めて、事業を予定通り行った。

   一方、日中友好会館では、2012年9月11日の尖閣国有化後、中国との交流を延期することにした。中国から、今の日中関係では円滑な交流を期待できないと言ってきたからだとした。今後、交流を再開するかは、調整中だという。日本からは、高校生が8月に中国へ行ったが、心配の声は出なかったとしている。

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