これまで逃げの姿勢が指摘された民主党執行部が、党首会談を自ら提案するなど変化の兆しが報じられている。年内解散・総選挙に向けて動き出したとの見方もあるが、本当なのか。
「具体的なことは言えないが、総理から何らかの新しい提案があるのではないか」
報道によると、民主党の輿石東幹事長は、2012年10月18日の民自公3党幹事長会談で、衆院解散の時期を問われてこう答えた。
19日の党首会談で野田首相が新提案へ
野田佳彦首相の提案は、翌19日に行われる見通しとなった党首会談でなされるというのだ。
解散を巡っては、あれほど明言しなかった輿石幹事長が、10月中ごろからテレビ番組などで、「近いうち」を認めるような発言に変わりつつある。特例公債などの重要法案を審議する臨時国会も、10月29日からと具体的な日程まで口にするようになった。
野田首相は、10日から民主党のマニフェストを作るように指示を出している。輿石幹事長が「軟化」に転じたのは、その意向を受けてとの見方もあるようだ。とすると、年内解散を強硬に求める自公の主張に、民主党執行部も折れたということなのか。
一方で、内閣不信任案の可決をなんとしても阻止しようという動きもみられる。
当選1、2回の若手議員約40人に対し、民主党執行部は17日の面談で、従来の銀行振り込みでなく、活動費を1人300万円手渡したことが報じられた。これは、離党を防ぐための手段とみられている。また、消費増税で袂を分かった「国民の生活が第一」の小沢一郎代表との連携を模索している、などとも報じられた。こうした動きは、与党の過半数割れを避けたい意図があるとされている。
解散を先延ばしにして、政権の延命を図りたいということなのか。
財務省が特例公債の法案を上げてと督促
民主党が過半数割れ食い止めに必死なことについて、政治評論家の浅川博忠さんは、こうみる。
「政権の延命を図るというより、不信任案が可決されて解散に追い込まれることは困ると考えているのでしょうね。確かに、民主党執行部は、来夏の衆参ダブル選挙をしたいという思いは根っこにあるでしょうが、自ら年内解散・総選挙に踏み切る方向になってきているように見えます」
その流れは、今週に入ってから、急速に高まってきたという。
「財務省が早く臨時国会を開いて、特例公債の法案を上げてほしいと官邸に督促してきていることがあります。11月中に上げてもらわないと、12月から自治体にお金を配れなくなります。財務省は、混乱を避けたいと思っているんですよ。野田首相は、財務省と2人3脚で消費増税法案を通したので、財務省が困ると言ってくるとむげにはできないわけです」
民主党執行部が、早期解散に傾いた理由としては、日本維新の会が失速していることと、自民党の安倍晋三新総裁が容易には引かない攻撃型であることも考慮されたとする。選挙の投開票日としては、12月9日か16日が挙がっているそうだ。
「選挙をしても、自民は220以上いく一方、民主は2ケタ割れの90台に落ち込む可能性があります。しかし、先送りしたからといって、勝てるわけではないですからね」
もっとも、情勢が変わる可能性もあり、今後の行方は、党首会談などの結果次第になりそうだ。