年金基金は本来「プロ」の投資家
一般的に、長野県建設業厚生年金基金のような総合型の厚生年金基金は、退職者への年金支払額の増加や新規加入者の減少、運用成績の低迷で、年金資産の積み立て不足が深刻な悩みになっている。
そのため、「より有利な、儲かる運用」に目が向きがちだ。AIJも「大きな利益をあげる」と評判になっていた。
経済アナリストの小田切尚登氏は「未公開株のようなハイリターンで目減りした資産の穴埋めを狙ったのではないか」とみているが、そのこと自体は法令違反ではないという。
ただ、問題がないわけではない。小田切氏はあくまで一般論としながら、「投資会社は未公開株に投資するリスクについて、きちんと説明しているはずです。年金基金は『投資のプロ』ですから、基金の運用担当者が『素人だった』は本来通用しません」と、年金基金の運用担当者の投資知識のなさを指摘する。
一方で行政にも、「おそらく、今回の件は運用する側は『もっとプロである』ということで行政処分が下るのでしょうが、(処分を)厳しくするのであれば、未公開株でも何がよくて何が悪いのか前もって判断できる材料を提供しないと、運用する側は(損失を出すと処分されるようで)怖くて投資できなくなります」と、注文をつける。