大阪市の橋下徹市長の出自について暴く「週刊朝日」連載をめぐり、橋下市長が朝日新聞系列の記者からの質問を拒否している問題で、朝日新聞記者が2012年10月18日の定例会見で「(「週刊朝日」版元の朝日新聞出版は)子会社ではあるが、編集権はまったく別」などと反論した。だが、橋下市長は、両社の資本関係や人事交流を理由に、「不法団体がトンネル会社作って、何でもかんでも色んなことやるのと一緒」と反発。改めて朝日新聞グループとしての見解を求めた。
「僕とは無関係の過去を無制限に暴き出すということは、公人であったとしても、認めることはできない」
橋下市長が問題視しているのは、ノンフィクションライターの佐野眞一氏らによる大型連載「ハシシタ 奴の本性」。橋下市長は何度も
「政策問題や、僕の政治的な態度、振る舞いとか、そういうことの検証のために一定の範囲でそういう事実を報じる、出すというのは当然」
と繰り返しながらも、連載には
「一番問題にしなければならないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなければならない」
と明言されていることから、橋下市長は
「僕の今の人格というものが絶対に許されない、この許されない人格は何なのかと言えば、これは血脈だ、DNAだ、先祖、実父、遠戚なんだ、と。こういう発想のもとで、どんどん僕とは無関係の過去を無制限に暴き出すということは、公人であったとしても、認めることはできない」
と主張。実父が住んでいたとされる地域については、
「どこどこ地域が、被差別部落の地域かどうかを明らかにすることは、今の日本の社会では認められていないと思っている」
と、被差別地域の具体的な場所を明らかにすることが社会のルールを逸脱するとの見方だを示した。記事内容の信ぴょう性についても、
「この取材記者がどこに取材したかをリサーチしたら、どこまでうちの実父のことを知っているのか、うちの祖父のことを知っているのか、大変怪しい人だけに話を聞いて、話を聞いたことをそのまま出すっていうのは、それは報道ではないって思っている。そんなこと言ったら、噂話だって伝聞だって、全部事実なのか、ということになってしまう」
などと、身元が不確かな人物の証言を重視する手法に疑問を呈した。
また、今後も連載が続くことについては、
「血脈主義というか、『人間は生まれてからの努力でやっていける』ということを全否定する朝日新聞社な訳ですから、人間は生まれながらにして、その出自、身分、先祖、そういうことで人間はすべて規定されるという朝日新聞社な訳ですから、これは仕方がないですね」
と吐き捨てた。