「カレログ」―恋人の行動を追跡できる「怖いアプリ」として批判を浴びたのは記憶に新しいが、今度はこの改良版が登場した。
その名も「カレピコ」。いったいどんな機能を備えたアプリなのだろうか。
「恋愛支援の面でかなりの改良を加えた」
「カレログ」が登場したのは2011年8月29日だ。恋人や家族が持つAndroid端末にアプリをインストールすれば、PCでGPSによる位置情報をチェックでき、居場所を隠そうと「電源が切れちゃった」などと言い訳できないよう、端末のバッテリー残量も確認できるというもので、「ストーカーを助長するのでは」などの批判の声が多くあがっていた。
これを受けて11年10月、機能を見直した「カレログ2」をリリースした。端末所有者本人がアプリをインストールし、情報共有する家族や恋人などにIDとパスワードを教えるようにした。
しかし「カレログ2」も12年10月10日にサービス終了。理由について、運営会社のマニュスクリプトは公式YouTube動画で「恋人たちの嫉妬心や不安が、カレログが原因で大きくなってしまった」と説明している。「広告収益に対して遥かオーバーなサーバコストの増大」も一因としてあるという。
これに代わる形で、「恋愛支援という見地からかなりの改良を加えた」という「カレピコ」が同じ日にリリースされた。
恋人や親子が端末にアプリをインストールし、相手の行動を把握できるという点ではカレログと変わらないが、「カレピコ」は目玉の新機能として「ピコエリア」(「ここに行ってほしくない」というエリアを1か所設定すると、そのエリアに端末所有者が行った時に設定した人に通知が届く)、「今どこCall♪」(端末所有者の現在地を1日1回確認できる)、複数の相手と位置情報を共有できる(有料)、登録から操作までPCを使わず、全てスマートフォンで可能になった、などがある。
カレログとカレピコの違いについて公式Q&Aページでは、カレログは端末の位置情報を定期的にサーバーに送信し、それをPCで確認できるというものだったが、カレピコでは端末所有者が位置情報を送る、送らない、を自分の意思で決めることができる(ただし「意図的に情報を教えなかった」ことは相手に知られてしまう)。仮にパートナーが勝手に端末にアプリをインストールしても、アプリが動作した際にプッシュ通知で確認できるため、所有者が気付いてアプリを削除することが容易になった、などと説明されている。
有料会員登録すれば何度も相手の位置情報を確認可能
運営会社は公式サイトなどで「カレピコを使う時は必ずお互いの同意が必要だよ!」「お互いの同意の得られないような情報共有、見守りを弊社は推奨しません」と注意を呼びかけているが、やはり「誰かに情報を握られる」という怖さはぬぐえない。
そこで記者が2台のAndroid端末を使い、実際にアプリを試してみた。
初回起動時に設定したお互いの端末のIDを入力して「パートナー登録」した後、「ピコエリア」を使ってみた。相手のIDを入力し、地図からエリアを設定して登録すると、片方の端末に「ピコエリアに登録しました」という通知が届く。この登録は拒否できない。ピコエリアに近付いた場合の位置情報の通知も、登録された側は拒否できない。ただし登録された端末のピコエリアの画面に行けば、どのエリアを登録されたのかの確認、登録を無効にすることは可能だ。無効にしたことを登録した側の端末に通知されることはない。
たとえばピコエリアに恋人が以前交際していた人の家の住所を設定すると、その家に訪れたかどうかを突き止めることができ、浮気の証拠をつかむことができる。高額な買い物をしてしまう相手ならよく買い物をするブランドショップなどを登録しておけば、そこに行った相手に買い物をしないよう連絡をするという使い方も考えられる。
さらに「今どこCall♪」を利用し、相手の端末の位置情報を受け取るリクエストを送信してみた。リクエストが通知された端末では、現在の位置情報を「送信する」「教えない」が選択できる。「送信する」を選択すると相手の端末に通知が届き、現在地が確認できるが、「教えない」を選択すると、相手の端末に「拒否された」などの通知が届くことはない。しかし位置情報が通知されないことによって「拒否された」とわかる仕組みだ。
たとえば恋人が浮気の真っ最中に今どこCall♪の通知を受ければ、それを拒否するか無視するだろう。具体的な居場所などはわからずとも、それで相手が怪しい行動をしていると判断することはできる。
位置情報が確認できるのは相手が「ピコエリア」に近付いた場合と「今どこCall♪」を使った場合のみで、逐一どこにいるかが確認できるわけではない、という点では改善といえる。ただし有料会員登録すれば、ピコエリアが最大10か所登録可能になり、今どこCall♪も1日に何回も利用できるようになる。相手の行動をほぼ把握することも可能だろう。
今回の反響についてマニュスクリプトに聞いたところ、インターネット上ではカレログとの違いが話題になっていると確認しており、また実際のユーザーからは使用方法についての問い合わせが多い。カレログの時のような批判は特に寄せられていないということだ。