「論文ねつ造世界記録」日本人トンデモ医師処分 「173編創作」なぜ可能だったのか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

「あたかも小説を書くごとく」論文を作成

   JSAは12年3月に藤井氏論文調査特別委員会を設置。藤井氏の全論文249編のうち212編を調査対象とし、論文内容、生データ、実験ノートなどの資料の精査、研究実施施設での研究関連記録の調査、関係者の面接調査を実施した。4月には、192編の論文の調査を求める海外23ジャーナルの編集担当理事の連名文書が、東邦大学や筑波大学、東京医科歯科大学など国内7施設あてに届いた。

   3月、6月の2回行った藤井氏への面接では、本人はねつ造を認めなかった。しかしデータなどの調査の結果、多くの論文について、研究対象が1例も実在せず、薬剤の投与も行われず、研究自体が実施されなかった「あたかも小説を書くごとく、研究アイデアを机上で論文として作成したもの」(JSA「調査結果概要」)という事実が明らかになった。委員会はこれを受け、「ねつ造あり」が172編、ねつ造されたかどうか判断できないものが37編だったとの調査結果を発表した。ねつ造は1993年の臨床研究2編を皮切りに、2011年までの19年間にわたって行われていたという。なお、「ねつ造なし」と断定できる論文はわずか3編だった。

   藤井氏はねつ造した論文の業績を大学の採用に利用したほか、公的研究費を得たり、企業主催のセミナーの講師を務めて講師謝礼を受け取ったりしていた。

   東邦大学が藤井氏を諭旨退職処分にしたあと、さらに「ねつ造」が拡大したわけだが、同大ではこれを受けて重い処分に変更するなどはしていないとのことだった。

姉妹サイト