なりすましウイルスで「えん罪」 それでも2人が自白していたのは?

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「警察や検察の追及がそれだけ厳しかった」

   警察や検察は、IPアドレスという「証拠」をちらつかせ、4人に自白を迫っていたようだ。報道によると、最後まで否認して釈放されたアニメ演出家男性(43)は、「認めたら罪が軽くなる」と持ちかけられたという。

   「自白」した2人も、こうした持ちかけなどから、気持ちがぐらついてしまったのだろうか。

   痴漢えん罪などの著書がある井上薫弁護士は、その心理についてこうみる。

「威力業務妨害罪で正式起訴になれば、重くて懲役3年と、刑は甘くありません。前科がないと執行猶予が付きますが、懲役1年の可能性もあり、怖いはずです。そう簡単に自白しないと思いますが、警察や検察の追及がそれだけ厳しかったということでしょう。それで、何かよく分からないものの、パソコンに残っていて逃れようがない、という気持ちになってしまったのだと思います」

   2人が具体的に動機を供述したことについては、こう言う。

「取り調べでは、泣いたり騒いだりして、少しずつしか話したりしません。それを、警察などがもっともらしい作文に作り上げるわけです。裁判官に『おかしい』と言われないためにですよ」

   今回の事件は、パソコンを使っているだれもが陥る恐れがある点で、かなり深刻だと、井上弁護士は指摘する。

「警察や検察は知識がなく、裁判官も疎いとすれば、あちこちでえん罪被害が出ているのでは。それを防ぐには、警察などが容疑者の弁解をよく聞くことですよ。客観的な証拠からではなく、はなからウソを言っているとしか見ない傾向がありますからね。最初から犯人と決めつけるのではなく、ネット上の特殊な犯罪ですので、慎重に捜査するしかないと思います」
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