「4本の腕では中途半端 日本には千手観音がある」 仏国営放送「福島の影響」にネットが「対抗」

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   フランスの国営放送の情報バラエティー番組で、サッカーのGK川島永嗣選手(29)の腕が4本になるように合成した写真が映し出され、「福島の影響だろう」と司会者が揶揄したことが、日本国内で大きな話題になっている。

   日本政府が抗議したことを受け、批判的な投稿がネットを席巻した。一方で、「エスプリの国」の挑戦を受けて笑いにかえてしまおうという動きもあって、「千手観音」の画像が出回る事態にもなった。

「不適切」と大騒ぎ、怒りの投稿相次ぐ

日本には千手観音がある?(画像は、ウィキコモンズから)
日本には千手観音がある?(画像は、ウィキコモンズから)

   「日本には超超すごい守護神がいたんだよ」――「毒舌」で人気のフランスの司会者ローラン・リュキュイエさんが2012年10月13日に公共放送「France 2」の情報バラエティー番組「On n'est pas couche´」内でこう紹介すると、サッカー日本代表の川島選手の腕が4本に合成された写真が画面に映し出された。リュキュイエさんは続けて、「福島の影響としても僕は驚かないね」と揶揄する調子で「冗談」を飛ばし、会場には一瞬の間の後、笑いと拍手が起こった。12日のサッカー日仏戦でのフランスの敗北が、週のできごとをランキング形式で紹介するコーナーで1位に取り上げられた際のことだ。

   この畸形の合成写真と東京電力福島第一原子力発電所を結びつけた発言は、「趣味の悪い冗談」などとベルギーなども含めたフランス語圏の一部のメディアで問題視された。

   16日、藤村修官房長官も在仏日本大使館を通じて「被災した方々の気持ちを傷つける」と抗議したことを明かし、田中真紀子文部科学相も「配慮に欠ける」と批判。日本ではワイドショーも「不適切」と取り上げ大騒ぎになった。

   ネットでも、「ゴールキーパーの川島を揶揄したあの司会者のようなフランス人を見ると虫唾が走る」とフランス文学者・翻訳家の鈴木創士氏がツイッターで怒りを爆発させたほか、「最低」「日本国民全員に謝罪しろ」などと憤った短文の投稿が相次いだ。

千手観音の画像が180回以上リツイート

   一方で、フランスのネットではリュキュイエさんを「そういう芸風」として受け入れているのか、反応は少ない。それを踏まえて記事に寄せられた意見を総合すると「今回はリュキュイエさんが賢くなかった」というのが大方で、関係者の立場に配慮した比較的冷静な分析が並ぶ。「原発の被害にあった人は気分を害するかもしれない」と気遣いつつ、「手が4本あるように思えるくらい川島がすごかったと表現したかったのだろう。ただ福島は余計だった」といった内容だ。

   また、日本のネットでも、怒る一方でなく、機知に富む発言を重んじる「エスプリの国」フランスからの挑戦として、ユーモアを発揮する向きもあった。

「川島はゴーリキーが進化したカイリキーなのですよ」

と4本の手を持つ「ポケモン」と重ねたツイートが人気を博したり、

「4本とか中途半端なんだよフレンチギャグは。日本には千手観音がある」

といった声を受けて、ツイッターで千手観音の画像が出回ったりした。

   もっとも、ジョークの応酬はほどほどが肝要のようだ。福島に関心を寄せる碓井真史新潟青陵大学教授(心理学)はツイッターでこう呼びかけた。

「心無いふくしまジョークや放射能ジョークは、国内でもしばしば耳にする(悪意はないのかもしれないが)。外国を非難するだけではなく、自省したい」
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