売れ残りのコンビニ弁当のように、食べられずに捨てられる食品(食品ロス)を減らすため、食品メーカーと食品卸売業、食品小売業16社が連携してワーキングチームを発足させ、実態調査や具体的な対策を検討することになった。
食品ロスを減らすには、メーカーが過剰生産を防ぐほか、賞味期限の直前まで商品を店頭に並べることができるよう商習慣を見直すことが必要で、2010年10月末から食品関連業界が改善に取り組む。
年間1100億円分が廃棄
食品の流通業界には賞味期限が長く残った商品を店頭に置き、期限切れが迫った商品は早めに撤去する商慣習がある。このため菓子、即席めん、調味料、缶詰など多くの加工食品は、賞味期限が近づくとメーカーや卸業者などへ返品となってしまう。加工食品を例に挙げると、業界全体で年間の売上高の1%余に当たる約1100億円がメーカーなどに返品され、「品質に問題がなくても、多くが廃棄されている」という。
このため、江崎グリコ、日清食品、マルハニチロ食品、雪印メグミルクなど食品メーカー、イトーヨーカ堂、東急ストア、ファミリーマートなど食品小売業が各業界を代表してワーキングチームを作り、賞味期限の残った食品は長く店頭に置いてもらうなど商習慣を見直したり、消費者に賞味期限を正しく理解してもらう表示方法などを検討する。
消費者の理解と意識改革も必要
国連食料農業機関(FAO)によると、農産物を含む世界の食料生産の3分の1に当たる13億トンが毎年廃棄され、穀物需給の逼迫や食料価格の上昇に結びついていると考えられている。これには売れ残りや食べ残しだけでなく、農場などで規格外となった野菜を捨てるケースや、農作物が豊作となり、価格維持のため廃棄するケースなども含まれているため、膨大な量となっている。先進国ほど食品ロスが多いとの指摘もある。
このため欧州連合は食料廃棄物を半減させる目標を掲げており、日本も農林水産省、消費者庁などが食品業界と削減に取り組もうとしている。今回のワーキングチームの発足も、農水省の「食品事業者環境対策推進支援事業」の一環として行われる。
食品ロスを減らすには、メーカーサイドの取り組みだけでなく、消費者の理解も必要だ。このためワーキングチームは、消費者に賞味期限や消費期限の正しい知識を伝え、賞味期限や消費期限が少なくなった商品でも安心して買ってもらえるようPR活動を推進する方針だ。
ワーキンググループは10月下旬から年内いっぱい、食品ロスの実態調査を行う。2013年1月に調査結果をまとめた後、意見交換を経て、3月には提言などをまとめる方針だ。