「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」
男性が1日で使えるとした1000円は、1か月なら3万円になるため、都区部に住んでいるとすれば、5万円余が家賃以外の必要経費という計算になる。だとすると生活状況はそれほどひどいとも思えない。
厚労省保護課も、「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」としており、なぜ食費などに3万円しか使えないのか疑問が多い。仮に3万円で食費を賄うとした場合については、「きついかどうかはお答えできませんが、可能だとは思います」と言っている。男性は地方に住んでおり、物価水準を考慮に入れる必要もあるようだ。
生活保護問題対策全国会議の事務局をしている小久保哲郎弁護士は、食費などが1000円になることについて、十分な額ではないと説明する。
「最低生活費ですので、そんなに余裕があるわけではありません。耐久消費財を買い替えられませんし、下着なども破れるまで着る話はよく聞きます」
ネット上のバッシングについては、疑問を示す。
「確かに、1日1000円以下で苦しい生活をしている人からみれば十分だと言いたくなるのだと思います。でも、生活保護基準が下がれば、最低賃金法の定めによって最低賃金が上がらず、地域によっては下がることもあり得ます。地方税の非課税基準や国保料等の減免基準等も軒並み下がります。生活保護を叩いてその基準が下がれば、自らの首を絞めることになるのです。むしろ最低賃金や年金の低さを叩くべきで、叩くべき相手を間違えていると思います」