百貨店、冬のバーゲン「後ろ倒し」は三越伊勢丹だけ?

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   2013年は、百貨店の冬のバーゲンセールの開始時期が注目されている。

   12年夏のバーゲンでは、三越伊勢丹ホールディングスが一石を投じ、例年よりも約2週間「後ろ倒し」でスタートしたが、冬のバーゲンはその三越伊勢丹HDを除いて、正月2日からになりそうだ。

夏のバーゲン「後ろ倒し」は不発

三越伊勢丹HDウェブサイト
三越伊勢丹HDウェブサイト

   12年夏、三越伊勢丹HDは「夏のバーゲンセール」を例年より遅らせ、7月13日から開始した。当日の朝、伊勢丹新宿本店には前年を上回る4000人を超える行列ができていた。

   滑り出しは好調だったようにみえたが、7月の売上高はグループ全店で約583億円となり、前年同月に比べて3.9%減った。

   百貨店業界では「バーゲン」の前倒しが進んだことで、夏物の最盛期に商品を切らすという、最悪の事態に陥ることが少なからずあった。三越伊勢丹HDの大西洋社長はそれを是正すべきとしてバーゲンの「後ろ倒し」に踏み切り、これに一部のアパレル大手が賛同したのだが、結果的に目論見がはずれた。

   そんな三越伊勢丹HDに対して、J.フロントリテイリング(大丸・松坂屋)は例年通り、6月末からスタート。高島屋や、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武は、7月1日からの第1弾と、7月13日からの第2弾と分けてスタートした。

   結論をいえば、「後ろ倒し」作戦は不発に終わった。2段階に分けて実施した高島屋でも、7月の売上高は前年同月比2.1%減だった。「クリアランスセールは例年1日に開始していますが、その時点で8~9割のブランドの品揃えが済んでいます。それが今年は半分くらい。その影響がなかったとはいえません」と話す。

   「後ろ倒し」に賛同したアパレルメーカーがあったことでブランド品が揃わず、「売りどき」を逃したとみている。また、百貨店によって開始時期がマチマチになったことで「消費者が混乱して、勢いがそがれた」こともある。

三越伊勢丹除き、冬は正月2日からバーゲン!

   「バーゲン」の販売効果は薄れつつある。高島屋は「アウトレット店で安く商品が買えるので、セール(安売り)の魅力は薄れてきたことは否めない」とみている。

   ただ、「百貨店のバーゲンセールを楽しみにしてくれているお客様がいるなかで、(後ろ倒しの影響で情報が拡散してしまい)商品の魅力が伝えづらかったことはあります」とも話す。

   冬のバーゲンについて、高島屋は例年どおり1月2日から、「初売り」を兼ねてクリアランスセールを実施する。大丸・松坂屋やそごう・西武も、1月2日から開始する予定だ。

   一方、三越伊勢丹HDは成人の日(1月14日)を含む3連休が過ぎた、1月18日から開始する。夏のバーゲンに続き、「後ろ倒し」を進めていく計画だ。冬のバーゲンまでのあいだは初売りや福袋などのイベントで売上げを確保し、「繋ぐ」という。

   三越伊勢丹HDは、「夏のバーゲンもそうですが、わたしどもは売上げ増だけをめざして後ろ倒しにしたわけではありません。季節にあった商品をその時期に提供していくことが百貨店の本来あるべき姿だと考えています。消費者にもセールだからといって飛びつくのではなく、商品の色やサイズがしっかり揃っているなかで吟味して買われる方もいます。セールの前倒しが当たり前のようになり、消費者も当初は戸惑いがあるかもしれませんが、当面はこの方向で進めていきます」と説明する。

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