ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のmixi(ミクシィ)が、リアルタイムの「足あと機能」を2013年1月までに復活させる。署名運動などで訴え続けてきた要望が1年越しに叶ったかたちで、ユーザーからは喜びの声があがった。一方、利用者数の低迷する同サービスで「何をいまさら」と冷ややかな見方もある。
「mixiの大きな変化に対する戸惑いやお叱りの言葉」を受けて復活
笠原健治社長が2012年10月9日に発表したところよると、mixiは「ユーザーファースト」を最重要キーワードにかかげ、今後の取り組みとして、訪問者(足あと)サービスにおける「リアルタイム表示」機能の提供や「機能要望」とユーザーの声の重視を打ち出した。「足あと機能」は2013年1月までに試験的に提供し、ユーザーの要望・意見を聞きながら、旧来の機能の一部や新機能を段階的に取り入れていく。
この措置は「足あと」の廃止をはじめとする、2011年度から2012年度にかけての「mixiの大きな変化に対する戸惑いやお叱りの言葉」を受けてのことだとし、いわば「反省の弁」が述べられたものといえる。
「足あと」は、自身のページをいつ誰が訪問したかをリアルタイムで把握するとともに、友人にはページを訪問したというフィードバックを残せるほか、新たに友人を見つけてつながることもできる機能だった。ただ、「足あとが付くのが気になって他人の日記を見に行きづらい」という人も多く、「ユーザー同士の交流の妨げに成っている」と判断されて、2011年6月に廃止された。代わって、過去1週間に訪れた人をまとめて表示する「先週の訪問者」機能が追加された。
しかし、ユーザーの間でリアルタイムでの足あと表示を希望する声は強く、2011年8月には1万7000人分の「反対署名」がミクシィ本社に届けられた。また、ユーザーが運営への要望を書き込む「機能要望」ページで「足あとのリアルタイム履歴表示を残してください」とする声への反応は、反対が1287人に対し、賛成は実に8万4664人にものぼる(2012年10月10日現在)。
「何をいまさら…」と冷ややかに見る向きも
今回の「復活」は、mixi内のコミュニティ「『足あと』復活運動委員会」にとっては、1年ごしの要望が叶ったかたちだ。ユーザーからは、
「来年1月からと言わずに、今すぐにでも元に戻して欲しい」
「やったー!!前のコミュからのみなさんの積み重ねと諦めなかった気持ちの勝利ですね!!」
と喜びのコメントが相次いだ。また、
「(足あとをつけることを躊躇わせるような)踏みかえしの強要とか、ユーザー間トラブルをできるだけ少なくすることが、今後の課題だと思う。試験的・段階的にというのは、mixi運営側もその課題を懸念しているから」
といった投稿もある。
ただ、mixi以外のネットユーザーからは、「何をいまさら…」と冷ややかに見る向きもある。facebook(フェイスブック、fb)やtwitter(ツイッター)といったサービスの急速な台頭で、mixiはすっかり影が薄くなってしまっているからだ。「足あと」復活を受けて「利用(を再開)したい」という書き込みはほとんど見られない。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏はJ-CASTの取材に対してこう話す。
「mixiの足あと機能は、自分から特別のアクションを起こさなくても『見ている』ことを知らせられるフィードバック機能で、その静かな『つながり感』はfbにはない重みがある。海外勢やLINEにとってかわられ存在意義が薄くなった中で、苦肉の策として、この独自機能を復活させたのでしょう」
ニールセンの調べによると、mixiの2012年8月の自宅PCからのアクセス者数は約567万人で減少傾向にある一方、fbは約1673万人で、3倍弱の差をつけられた。mixiの独自の集計では、月間ログインユーザー数はスマホからのアクセスも含め1453万人(2012年6月)だが、足あと廃止の1か月前となる2011年5月に1547万人という最高値を出して以来、横ばいが続いている。