村上春樹「ノーベル文学賞」本命 ライバルは中国人作家で「日中対決」?

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村上氏は節目ごとに国際社会に向けてメッセージを発信

   魚氏が指摘するように、最近の村上氏は節目ごとに国際社会に向けてメッセージを発信している。2009年2月にイスラエルの文学賞「エルサレム賞」を授与された際のスピーチで、当時イスラエル軍がパレスチナのガザ地区を攻撃したことを踏まえて「高くて頑丈な壁と、壁にぶつかれば壊れてしまう卵があるなら、私はいつでも卵の側に立とう」と発言。武力行使への批判と平和の願いを込めた。2011年6月にスペインの「カタルーニャ賞」を贈られた時には、受賞3か月前に起きた東京電力福島第1原発の事故を取り上げ、「原子力発電所を建設した人々が、これほど大きな津波の到来を想定していなかった」と断じた。安全基準の見直しに真剣に取り組まなかった電力会社や日本政府を厳しく批判。同時に、唯一の被爆国として「私たち日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」との意見を表明した。

   尖閣諸島をめぐり中国で激しい反日デモが起きた今夏、村上氏は再びメッセージを発した。2012年9月28日付の朝日新聞朝刊に寄稿。東アジアでの交流で築かれてきた「国境を越えて魂が行き来する道筋」が尖閣、あるいは韓国との竹島問題で壊れることを恐れるとした。「領土問題が『国民感情』の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させる」と警鐘を鳴らし、「魂が行き来する道筋」を「何があろうと維持し続けなくてはならない」と説いた。

   受賞者は日本時間10月11日夜に発表される。

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