海外で特許を取るためのお金など多額の費用
世界的な研究が認められて、山中伸弥教授は、現在は各省庁から様々な支援を受けている。文科省からは、科学技術振興機構の分を含めて、2012年度は、26.5億円の支援があった。13年度は、同省が44.5億円の予算要求をしている。
とはいえ、内閣府からの50億円支援などは、13年度末までに終了してしまうことになる。
京大のiPS細胞研究所は、世界に先駆けて、iPS細胞の実用化を目指している。それには、多額のコストがかかるようだ。職員200人の人件費や最新の機器代、マウス飼育費などのほか、海外で特許を取るためのお金もいる。京大の広報室では、「特許は、お金もうけではなく、研究者が自由な環境で開発するために必要なんですよ。その壁があると、医療は進みませんから」と説明する。
iPS細胞で期待される再生医療は、日本は、アメリカの10分の1の予算しか出ないとされる。また、海外の研究所は、山中教授の数倍の研究資金で回していると言われている。
山中教授が好きなマラソンで研究資金を募るようになったのは、まだまだ足りない日本の事情があるようだ。
12年3月の京都マラソンで、400万円のカンパを訴えたところ、出走前に集まり、目標を1000万円にして現在も募っている。財団法人「ジャスト・ギビング・ジャパン」のサイトを活用しており、ノーベル賞受賞で寄付が上積みされ、10月9日夕現在で1300万円を突破した。
サイトのコメント欄には、山中教授への応援メッセージがあふれている。「我が子も神経線維腫症という難病です。まだまだこれからだと思っておりますが、いつの日か!という希望が持てました」「僕も神経の再生を待ち望んでる身体障害者の一人です。応援してます!」といった書き込みがあり、研究への期待は大きい。