AIJ投資顧問の年金消失事件で被害を受けた長野県建設業厚生年金基金が、別の未公開株の運用でも損失を出していることが証券取引等監視委員会の調査でわかったと、2012年10月6日付の日本経済新聞が報じた。10月9日時点で、証券取引委は「こちらから発表したものはありません。(調査中かどうかも)個別の案件についてはお話できません」と話した。未公開株の運用に投じた約70億円が20億円程度に目減りしている。
年金基金の約70億円を運用管理していたのは、ソシエテジェネラル信託銀行とスタッツインベストメントマネジメント、ユナイテッド投信投資顧問の3社で、基金の指示に基づいて別の投資会社と業務契約を結んだうえで、投資会社の指示する未公開株に資金を振り向けていた。AIJのような詐欺ではないが、3社は投資会社や投資先の企業の経営内容を調べるといった最低限の確認作業を怠っていたとされる。
金融庁は、証券監視委から処分勧告があれば3社を行政処分することができる。
長野県建設業厚年基金は長野県の建設業者、約370社の社員が加入している。年金資産は、AIJ事件が表面化する以前の2012年1月時点で約175億円とされていた。その後、AIJ事件や未公開株の損失で年金資産は半分以下に減った可能性がある。